▲福永祐一調教師が今年の有馬記念を考察(撮影:桂伸也)
馬から下りて、“調教師”の立場からGI戦線をご覧になっている福永祐一調教師。今年は3歳馬の勢力図や宝塚記念、ジャパンCを解説し、大きな反響をいただきました。今回は、週末に迫る有馬記念を分析していただきます。
前編では、前走ジャパンC組の4頭の取捨について。能力最上位の馬やコース替わりが追い風になる馬など、押さえるべきポイントを詳しく解説。
後編では、その他の出走馬についても触れていき、福永調教師が「最も注目している」という馬についてもお話しいただきます。
(取材・構成:不破由妃子)
「能力は一線級」中山コースを得意とする馬を上回る能力差があるかどうか
ジャパンC直後は、有馬記念出走にも含みを持たせたイクイノックス陣営だが、12月を待たずして引退することが発表され、有馬記念は一気に混戦模様に。どの馬にもチャンスがあるとまでは言わないが、上位馬数頭はほぼ横一線といっていいだろう。戦前からあきらめムードが漂っていたジャパンCとは違い、レース自体は俄然おもしろくなった。
まずは、前走ジャパンC組の4頭から。
天皇賞(秋)の前に一頓挫あり、ヴィクトリアマイル(3着)以来6カ月半ぶりの実戦となったスターズオンアース。休み明けということもあり、手放しで絶好調といえる域にまでは達していないようにも見えたが、結果はリバティアイランドから1馬身差の3着と、2冠牝馬の力は十分に示した。
もともと直線の長い舞台でより力を発揮する馬だと思っていて、出走は叶わなかったものの、天皇賞(秋)からおもしろい存在として注目していた1頭。だから、ジャパンCでの健闘は「やっぱりな」というのが素直な感想で、自分としては答え合わせができた感覚に近い。
競馬の内容としては、外枠が当たったことで位置を取りに行く選択をしたのだと思うが、本来はもっと末脚を生かした競馬で、より強さを発揮するタイプだと思う。個人的な見解として、本質的には東京の2000m、2400mがもっともパフォーマンスを発揮できる舞台という見方は変わらない。
▲東京2400mのオークスを勝利したスターズオンアース(撮影:下野雄規)
ただ、ジャパンCを見て