アプリ限定 2022年05月15日(日) 18:03
▲大好評!「競馬博士」坂井瑠星騎手の短期連載! (撮影:福井麻衣子)
“超”のつく競馬オタクの坂井瑠星騎手が、豊富な知識と経験から種牡馬を解説する「使える種牡馬辞典」。前回の「ロードカナロア、キズナ、オルフェーヴル編」に続き、今回は「ハーツクライ編」をお届けします。
自厩舎の矢作芳人厩舎に所属していたリスグラシューも代表産駒の一頭ですが、ハーツクライの産駒たちには様々な特徴が見られると瑠星騎手。覚えておきたい「2つ」のチェックポイントを解説します。
(取材・構成=不破由妃子)
ちょっと白目が多くて、大きめな顔の真ん中に派手な流星──そんな特徴的な共通点を持つのが、ハーツクライ産駒です。実際、「この子、ハーツっぽいな」と思った馬は、だいたいハーツクライ産駒。ロードカナロア同様、顔が似ている子が多く、僕の心象のなかにはいわゆる“ハーツ顔”がしっかりと刻まれています。
▲ディープインパクトに土をつけた2005年有馬記念 (撮影:下野雄規)
▲代表産駒の一頭、ワンアンドオンリー (撮影:下野雄規)
初回で“ディープインパクト愛”を熱く語った僕ですが、みなさんご存じの通り、ハーツといえば国内で唯一ディープに土を付けた馬。当時の僕にとってはヒール的存在で、勝手にライバル視していました(笑)。
そんなかつてのライバルを近くで一目見ようと、引退したばかりのハーツクライに会いに行ったことがあります。引退してすぐでしたから、気持ちはまだ競走馬だったんでしょうね。そーっと近づいた僕を、いきなりガブッ! まだ10歳で体が小さかった僕は、そのまま馬房のなかに引きずり込まれそうになりました(苦笑)。ハーツクライ自身には、そんな強烈な思い出があります。
ハーツクライといえば、その走り方も特徴的で、当時は“がに股”という表現が使われていたとか。それは産駒にもしっかりと受け継がれていて、もれなくと言ったら言い過ぎかもしれませんが、多くのハーツクライ産駒は前脚を外側に開くような走り方をします。
走っているときだけではなく、歩いているときも、ただ立っているときも、開き気味の産駒が多い印象です。代表産駒の1頭であるリスグラシューも、思えば少し開き気味の走りでしたね。
▲リスグラシューも少し開き気味の走りをしていたという (C)netkeiba.com
前脚が外に開き気味ということは、単純に考えると、真っ直ぐに脚を伸ばして走るよりもスピードが出づらいようにも思いますが、これだけ産駒が走っていることを思うと、一概にマイナス要素とは言い切れないのでは…というのが僕の印象です。
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坂井瑠星
1997年5月31日、東京都生まれ。父・坂井英光は大井競馬所属として地方通算2000勝を達成した名手(現調教師)。同期は藤田菜七子、荻野極、木幡巧也ら。2016年に栗東・矢作芳人厩舎所属でデビュー。2019年ノーワンのフィリーズレビューで重賞初制覇。2020年ダノンファラオのジャパンダートダービーで交流GI初制覇。また、2017年のオーストラリア長期遠征を皮切りに、ヨーロッパや中東など世界各国で騎乗。
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