イスラエル、レバノン空爆拡大-イラン報復に複数の選択肢
(ブルームバーグ): イスラエルは5日、レバノンの親イラン民兵組織ヒズボラを標的とする空爆を拡大した。イスラエル政府はイランによるミサイル攻撃への報復の選択肢を検討している。
イスラエル国防軍(IDF)は5日、レバノンの首都ベイルートなどの地域にあるヒズボラのインフラを空爆したと発表。イスラエル紙ハーレツは、同国に約200発のミサイルを撃ち込んだイランに対する「重大な」攻撃をIDFが準備をしていると報じた。イスラエルの安全保障内閣メンバー、ギドン・サール氏は5日夜、イランへの報復措置として複数の選択肢があるが、どんな手段を取るかは未定だと述べた。
一方のイランは、イスラエルによる攻撃の可能性に備え対抗措置を講じる方針をあらためて示し、広くイランの代理勢力と見なされるイスラム組織ハマスやヒズボラと、イスラエルとの停戦の可能性については重視しなかった。
イランのアラグチ外相はシリアのアサド大統領との会談後にダマスカスで、「イスラエルが攻撃を仕掛けてきた場合、われわれはより強く、より厳しい対応を取る」と記者団に語った。停戦に向けた取り組みについては詳述を控え、詳細に踏み込む「時期ではない」と付け加えた。
中東地域で紛争拡大のリスクは高まっている。イスラエルはここ数週間、ヒズボラの司令官を標的に攻撃を激化させており、ポケットベルやトランシーバーなどの通信機器を爆破させたほか、2006年の戦争以来初めてレバノン南部に地上侵攻。5日の攻撃では、レバノン北部のパレスチナ難民キャンプが初めて被害を受けたとAP通信は報じた。また、ハマス幹部2人がレバノンで死亡した。
ここ数週間の攻撃で、ヒズボラの司令部の多くが破壊され、3日夜のベイルート郊外への攻撃では、ヒズボラの指導者ナスララ師の後継候補サフィエディン師が標的となった。ヒズボラもイスラエル軍もサフィエディン師が死亡したかどうかは確認していない。ロイター通信は5日、サフィエディン師が4日以来連絡が取れなくなっているとレバノンの治安当局者の話を引用して伝えた。