「筒香のDeNA復帰はよかった。でも今後は…」上原浩治が考察するポスティング制度の新たな改革案
メジャーリーグ、ジャイアンツを退団した筒香嘉智外野手が、古巣のDeNAに復帰することが決まった。5年ぶりの日本球界復帰にDeNAファンの注目度も高く、18日には横浜スタジアムで公開入団記者会見が行われ、雨空の中、開放されたスタンドには多くのファンが詰めかけた。
筒香を巡っては当初、日本球界復帰に際して巨人との契約が決定的との報道があった。その後、事態がどう動いたのかはわからないが、結果としては、DeNAが復帰を望んで交渉を続け、球団のラブコールに応える形で合意したことは、個人的には良かったと思う。
ポスティングシステムは、日本の球団が選手をメジャーに送り出すために移籍を容認する制度である。球団の容認の有無がFA(フリーエージェント)との決定的な違いである。球団は選手の保有権をメジャー球団に渡し、いわば移籍金のような形で譲渡金を手にする。お金を受け取って、保有権を譲渡した以上、その後にFAの立場となった選手がどこの球団と契約するかは自由なわけであるが、日本球界への復帰に際してだけは、古巣球団に何らかのアドバンテージがあってもいいと考えている。
実際、今回のDeNAのように日本に戻ってくるときは、再びチームのユニホームに袖を通してほしいと背番号を空けて待っているケースもある。
もちろん、譲渡した球団の状況も変わっている可能性がある。選手が移籍した後、チームの戦力を整えていくために選手を補強したり、若手を起用したりして強化を図っていく。いつ戻ってくるかがわからない選手をあてにして待っているわけではないが、もしも、タイミングが合うのであれば、優先的な交渉権を与えてもいいのではないだろうか。
今回も復帰先が同じ在京セ・リーグの巨人と報道されたときには、DeNAファンの思いは複雑だったはずだ。
優先的な交渉の場が設けられ、球団が現状と照らし合わせて獲得を見送る方針であったり、交渉の過程で条件面で折り合いがつかなかったりした場合であれば、ファンも納得できると思う。
筒香選手はまだ32歳で、これからキャリアを積み上げていく可能性は十分に期待できる。日本時代のような打撃を取り戻せるか、さらなる進化をしていくかは、やはり現状の日本球界にどれだけ対応できるかにかかってくる。私自身も「メジャーがダメだったから、日本で」という考えが通用しないという覚悟を持って日本球界へ戻った経験があるが、日本のプロ野球は決して甘い世界ではない。それは、復帰した選手が全員、必ず結果を残せているわけではないことからも明らかだろう。
筒香選手はマイナーの厳しい環境でもまれた経験も含め、若い選手たちにとっては学ぶことも多い存在である。ただ、私はそういうお手本的なことは後回しでもいいと思っている。まずは、自分が戦力となって結果を残してこそ、である。日本時代に200本以上の本塁打を放った実績のある選手ゆえに期待値も高い。ブランクを懸念する声もあるが、蓋を開けてみないとわからない点だろう。どんなプレーをするのか。私自身はとても楽しみで、今季のセ・リーグがまた一段とおもしろくなりそうだ。