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「狩猟も畑も小屋を建てるのも全部やる。役者はその一つにすぎない」東出昌大が語った仕事論

 「役者業って、すごく摩耗するんですよ」。東出昌大は突き抜けるような青空を見上げながら、そう呟いた。自業自得といえば、簡単かもしれない。ただ、さまざまな欲望渦巻く世界で生きれば、何かがあってもおかしくない。今、山で暮らす東出は、自身の“役者業”をどう感じているのか。謎に満ちた半自給自足生活の今に迫るーー。 (2回目/全3回) 【インタビュー1回目】⇒「スキャンダル以降、東京で部屋を借りれなくなって……」東出昌大が”半分山暮らし”をする理由 【インタビュー3回目】⇒「芸能界に入る前からずっと虚しかった」東出昌大、たどり着いた現在の境地 東出うどん

今のほうが役者の仕事もしやすい

──半自給自足生活が性に合っているのは分かりましたが、とはいえ役者と田舎暮らしの両立は大変じゃありませんか? 東出:いや、むしろ今のほうがいい状態です。役者業ってすごく摩耗するから、山で羽根を伸ばして次の現場に備えることで気持ちを切り替えられる。以前、農家の方に「役者を休んでるときはなにしてんの?」と聞かれて「狩猟やって、小屋立てて、畑の準備をしています」と答えたら「百姓だね」と言われたんです。その人がいうには「百姓」って「100の仕事を持つ」という意味らしくて。田舎に暮らすと、狩猟も畑も建築業も全部自分でやらなきゃいけないから「百姓」なんだと。だから、役者業もそうした数多くある仕事のひとつだと思っています。 ──役者も100の仕事のうちのひとつと捉えれば、気負いもなくなりそうですね。 東出:そうですね。やるからには頑張るけど、人生の全てを賭けて取り組もうとは思わなくなりました。昔は役者であることに確固たるアイディンティティがありましたが、今はそうでもない。やるからには頑張るけど、役者としての最高到達点も数値化できるものじゃないですしね。のんびりやっていくのが一番かなと。