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ちゃんとした『大人』が主人公の作品。年齢や設定だけでなく、ウケねらいのおっさんでもない話は貴重だ。
危険な異世界で主人公の武器は最強でも何でもない。制約もあり、極限状態のサバイバルは恐怖感を感じる。大人の視点でこれなら、子供たちにはどれだけ恐ろしいだろうか。

この物語は大人の山田さんとねねさん。そして子供たちの関係性が大切だ。危険の中でも助けようとする大人たち。かわいいだけでなく「子供らしさ」が描かれる子供たち。
キーワードに偽り無く、冒険の恐ろしさと、ホームドラマの暖かさを感じる。

したたかで安定志向な山田さんに派手さはない。夢中になるとは違う作風かもしれない。
だが、何度も読み返したくなる読後感のある、しっかりとした良作である。
ランキングに読み疲れた時にでも、ゆっくり読んでみてはいかがだろうか。

主人公の能力は「自宅召喚」
つまり、何時でも何処でも自宅を呼び出せる。まさに究極のチート能力。

が、巷によく見られる様な「万能」「俺ツエー」などでは無く、まさにビジネスホテルの様に眠って食事を出来るだけ（いやそれでも十分凄いのですが）

時間的及び物質的な制約ルールが見事であり、万能感は微塵も無く、「自宅に帰れるまで、いかに生存出来るか」がカギとなります。
そして作者様の文章能力も秀逸。
私はなろうの作品で、ここまで「オークに追われた恐怖感」を味わった事がありません。

少し変わったなろう異世界チート系ファンタジーですなぁ。
なろう異世界ファンタジーの作品的キーワードで『ドキュメンタリー』をストーリーを紡ぐ軸の一つにするセンス！作者様の巧さですなぁ！

ストーリー構成やキャラクターの配置なども読み手様の心をくすぐりますなぁ。

皆さま、四月の夜長にこちらの少し変わった設定の異世界ファンタジーを読まれてみてはいかがでしょうか。

タイトル通り安定志向で堅実な山田さんと、パーティーを組んだ人たちとのハートフルな物語
その裏でその周辺は不穏な影が迫っており、山田さんパーティーが如何に危機を脱していくか目が離せません
安定志向といいつつ実はしたたかな山田さんが、異世界に召喚した元凶の神様を困らせる所も見所です

ああ、自分もこんな小説が書けt