ただ、後輩は美人で存在感があったから私も知っていたし、
ちょっかいをかけてそれなりに親しくしていた。（あくまでそれなり）

さっきも「スラッとした美人なお姉さんがいるなー」
と思って見ていたら、後輩カップルだった。
視線が合った瞬間にお互い「あっ！」と気付いて、
後輩が寄ってきて一緒にお茶することになった。
一緒にいる人は婚約者で、来春式を挙げる予定とか
近況を聞いた後に思い出話になった。
私がマイクパフォーマンスをしている姿がすごくかっこよかったとか、
19歳の誕生日にもらった指輪を今でもストラップにして大切にしているとか、
色々話しているうちに「あーそんなこともあったなー」と思い出していた。
婚約者さんも「へーそんなことがあったんだ？二人は仲が良かったんだねー」
という感じで話に参加していた。

ここまでは普通に話していたんだけど、
メールの着信音が鳴ってから状況がおかしくなった。
後輩が「それ、何の曲ですか？」と興味を示した。私が
「これ、今ハマってるアイドルの曲なんだー
“気持ちに気付いてほしいのに、私の心は全然見てくれない”て歌詞でね、
気に入ってるの」
と答えたら、曲名を聞かれたから教えた。
そしたら後輩がスマホを弄り始めたから、婚約者さんと話の続きをすることにした。

ふと気付いたら、後輩が静かに泣いていた。
ビックリして何を泣いているのか聞いたら
「さっきの…歌詞……読んで……」
と言った途端、後輩の涙腺が崩壊したから慌ててハンカチを差し出した。すると
「（私）ちゃんは、いっつもこうやって優しかった……」
と言われて「え？」ってなった。
「こうやって優しくて、かっこよくて…好きだったのに……」
と言われて「はぁ？」ってなった。
たぶん婚約者さんも意味が分かってなかったはず。

頭の中が未だにパニック状態で抜けてるところもあるかもしれないけど、要は
・一緒にバイトをしていたとき、
私が後輩を励ましたことがあったらしく、それで惚れていた。
・でも私は全然気付いてなくて、だから誕生日プレゼントに指輪をおねだりした。
・指輪をもらえて嬉しかったけど、本当はペアリングがよかった。
・指輪がほしいと言った時点で気持ちに気付いてほしかった。
・さっきも指輪のこと忘れていたみたいで悲しかった。
・10代の頃も、気持ちに気付くどころか男の人を紹介されて悲しかった。
・当て付けで付き合ったのに、祝福されて悲しかった。
・恋人と上手くいってないことを話しても、
別れるようにアドバイスをされただけで辛かった。
などなど。

後輩の様子を見て、婚約者さんが
「こちらで話をしますので…」
と言ってくれたから、私は「なんかすみません」と謝ってカフェから出てきた。

今こうやって打ってて思い出したことがある。
そういえば指輪を買ったあとプリクラを撮ったんだけど
「うちらLOVELOVEやね！」
と後輩が書き込んでいた。私はこれを見て
「そんなに仲良くないのになー」と、ちょっと違和感があった。
そういえば、当時仲が良かったバイト仲間とピンキーリングをお揃いでつけてて、
後輩からピンキーリングのことを聞かれた気がする。
今更だけど、後輩に指輪を買ってやるとき、何か言いたそうにしていたような？
あんなことを言われたから、脳が記憶の改竄を始めただけかもしれないけど。

なんか色々衝撃を受けた。長文ごめん。