いわば飛び込みの営業のようなもの。
観終わった後、気持ち程度でいいので私の芸を評価した額を出してほしい、とのこと。
文章で書くと物乞いみたいに七ってしまったが、大道芸のような感じだった。
我々は了承し、10分くらい見せてもらった。
普通に手品も上手だったし、話も面白かったので満足だった。
さて、お金というタイミングで、クソ天然のSがやらかした。

S「いやー、俺こういう本物手品間近で見たの初めてだわ！」

そして机に出される千円札。続け様に同じく天然入ってるHが

H「本当すごかったねー！」

そして重ねられる千円札。固まる残り3人、硬直するおじさん。

出しすぎ…！とアイコンタクトする3人。
多分10円、多くて100円でもいいであろうところ、
おじさんもあまりの金額にめちゃくちゃ動揺している。
10分で2000円を出されたのだ、時給換算で１万2千円である。

しかし、ここで出しすぎと指摘するわけにもいかず、残りの3人で小声で相談し、
3人で千円、合計3000円ということにした。
それでも時給換算１万８千円である。

おじさんも申し訳ないと思ったのか、「お時間あれば…」と確認した上で、
もう30分くらい芸を見せてくれた。
普通に面白かったSとH以外の我々は数百円しか出していないので、かなり満足だった。
ちなみに2人は
S「えー、サービスいいですねー！」
H「得したー！」
と喜んでいた。

あの時、なんの躊躇いもなく1000円を出す２人に場が凍りついたのがいい思い出。
でも、仲間内で結婚してるのがSとHだけなので、多分そういうところなんだろうな、と思う。
Sとか子供も産まれて最近なかなか連絡取れなくてすこし寂しい。