西川和久の不定期コラム
Snapdragon 8 Gen 2搭載12.4型タブレットがこの値段で大丈夫!?「Xiaomi Pad 6S Pro」
2024年6月5日 06:17
Xiaomiは5月9日、Snapdragon 8 Gen 2搭載12.4型タブレット「Xiaomi Pad 6S Pro」を発表した。価格は6万9,800円から(8GB+256GB)。実機が編集部から送られてきたので、試用レポートをお届けしたい。
Snapdragon 8 Gen 2搭載12.4型タブレット!
少し前、新型「iPad(Pro)」の発表があったものの、円安の影響もあり、価格は普通のノートPC買えるのでは!? 的な驚き。初代M1搭載の「12.9インチiPad Pro」を所有していることもあり、気になりリアルタイムで見ていたが、さすがにちょっと……という感じだ。
そのような記憶があったので、本記事を執筆するにあたって、スペックなどを調べていたところ、価格を見て「えっ!」となった。SoC的にはフラグシップクラス、そして8GB+256GB、12.4型で6万9,800円。錯覚かと二度見したほどだ(笑)。もちろん、SoC、パネルやカメラ、その他もろもろ異なるため、比較してもあまり意味はないのだが……10万円はるかに切っているので驚いた次第。主な仕様は以下の通り。
Xiaomi「Pad 6S Pro」の仕様 | |
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SoC | Snapdragon 8 Gen 2 Mobile Platform (オクタコアCPU: Cortex-X3×1、Cortex-A715×2、Cortex-A710×2、Cortex-A510×3/3.36GHz)、Adreno 740を内包 |
メモリ | 8GB/12GB(LPDDR5X) |
ストレージ | 256GB/512GB(UFS 4.0) |
OS | Xiaomi HyperOS(Android 14ベース) |
ディスプレイ | 12.4型LCD(3,048×2,032ドット)、3:2、144Hz AdaptiveSync、700cd/平方m(標準)/900cd/平方m(HBM)、DCI-P3、Dolby Vision、HDR10、Widevine L1認証 |
ネットワーク | Wi-Fi 7/6、Bluetooth 5.3、NFCタグ対応 |
インターフェイス | USB 3.0 Type-C、6スピーカー |
カメラ | 前面:3,200万画素/背面:5,000万画素+200万画素(深度) |
センサー | Gセンサー、ジャイロスコープ、Lセンサー、Pセンサー、Eコンパス、指紋センサー、ホールセンサー、フリッカーセンサー、色温度センサー |
バッテリ | 10,000mAh/120Wハイパーチャージ対応(35分) |
サイズ/重量 | 約278.70×191.58×6.26mm/590g |
カラー | グラファイトグレー |
付属品 | 120W ACアダプタ、USB Type-C ケーブル |
別売 | Xiaomiフォーカスペン(1万4,800円)、Xiaomi Pad 6S Proタッチパッドキーボード(1万6,800円)、Xiaomi Pad 6S Pro カバー(4,980円) |
価格 | 6万9,865円(8GB+256GB)、8万4,800円(12GB+512GB)※Amazon Xiaomiストア調べ |
SoCはフラグシップクラスのSnapdragon 8 Gen 2。オクタコアCPUで、Cortex-X3×1、Cortex-A715×2、Cortex-A710×2、Cortex-A510×3/3.36GHz。クロックは最大3.36GHz。GPUにAdreno 740を内包している。
メモリはLPDDR5Xの8GBもしくは12GB。ストレージはUFS 4.0の256GBもしくは512GB。OSはAndroid 14ベースのXiaomi HyperOSを搭載する。
ディスプレイは12.4型LCD(3,048×2,032ドット)。3:2、144Hz AdaptiveSync、700cd/平方m(標準)/900cd/平方m(HBM)、DCI-P3、Dolby Vision、HDR10、Widevine L1認証などの特徴を持つ。
ネットワークはWi-Fi 7/6、Bluetooth 5.3、NFCタグ対応。Wi-Fi 7対応はポイントが高い。インターフェイスはType-C(USB 3.2 Gen 1)、6スピーカー。カメラは前面:3,200万画素/背面:5,000万画素+200万画素(深度)。microSDなど非対応なのが残念なところか。
センサーはGセンサー、ジャイロスコープ、Lセンサー、Pセンサー、Eコンパス、指紋センサー、ホールセンサー、フリッカーセンサー、色温度センサー。バッテリは120Wハイパーチャージ対応(35分)の10,000mAhを内蔵。ハイパーチャージ対応のACアダプタも付属する。
そして価格は8GB+256GBモデルで6万9,865円、12GB+512GBモデルで8万4,800円。特に前者は用途的に容量がOKならすぐに欲しくなるところではないだろうか。
オプションとして、Xiaomiフォーカスペン(1万4,800円)、Xiaomi Pad 6S Proタッチパッドキーボード(1万6,800円)、Xiaomi Pad 6S Pro カバー(4,980円)も用意されている。
筐体はグラファイトグレー。ありがちな色/質感だが、高級感は十分。重量は実測で604g。12.9型iPad Pro(第5世代)が682gなので、それよりは軽いものの、11型よりは重いと言った感じでパネルサイズ相応だろうか。
前面はパネル中央上に前面カメラ。縁はそこそこ狭い。背面は右上にカメラ群、左上に接点があるのはキーボード用だろうか。右側面にType-C、上側面に音量±ボタン、左側面に電源ボタン。下側面には何もない。
付属品はACアダプタ(約約63×60×30mm、重量187g、出力120W)とType-Cケーブル。出力120Wなので、120Wハイパーチャージ対応(35分)対応となる。もちろん普通のPD対応ACアダプタでも(急速ではないが)充電可能だ。
12.4型のパネルは、明るさ、発色、コントラスト、視野角すべて良好。アスペクト比が3:2なので扱いやすい。ただ調べたところUSB Type-Cからの映像出力は未対応。後述するワークステーションモードがあるだけに、やや残念な部分と言える。
カメラは、モードとして、ドキュメント、ビデオ、写真、ポートレート。その他に夜景、50MP、ショートビデオ、デュアルビデオ、監督モード、編集などがある。デジタルズームは10xまで行けるものの、通常は2xまでの表示(背面カメラのみ)。ビデオは720p、1080p、4K(背面カメラのみ)に対応する。
前面カメラはビデオ会議系なら問題ない画質だ。ただちょっとAWBがふらつくのが気になるところ。背面カメラはこれまで試したAndroid系タブレットの中では一番いいのではないだろうか? かなり寄れるのでマクロっぽい撮影もできる。
発熱に関してはベンチマークテストなど負荷をかけてもほぼなし。気持ち暖かくなる程度だった。これなら持ってて不快になることもない。
サウンドはかなりのパワーがあり、最大だと相当煩い。バッテリベンチマークテストでは50%出力にしているのだが、隣接した3部屋離れた場所に置いても音が聞こえるほど。6スピーカーで縦位置/横位置、どちらでステレオになる。
オプションのXiaomi Pad 6S Pro カバーは、iPad Smart Folioに似ているが、スタンド相当になる折り畳み方が異なり、ご覧のような感じとなる。重量は実測で355gと少し重め。またXiaomiフォーカスペンを固定する小さいカバーもある。
Xiaomiフォーカスペンは、3ms超低遅延、8,192段階の圧力感度などの特徴を持つ。後述するMi キャンバスで少し試したが、反応も良く、書きやすかった。充電は写真からも分かるように、本タブレット、横位置時、上部少し右側に磁石で吸着し行なうことができる。
OSはAndroid 14ベースのXiaomi HyperOS
初期起動時、ホーム画面は2画面。フォルダはGoogleとツール。通知エリアとクイックアクセスはご覧のように分かれており、ある意味iPadOSっぽい。256GBモデルだと約237GBが使用可能となっている。Widevineは調べたところL1。Netflix、Amazon Prime ビデオなどが高画質で楽しめる。
IMEはGboard。画面キャプチャはシステムナビゲーションがボタン式になっているが、もちろんジャスチャー式に変更可能だ。認証は、PIN/パターン/パスワード、顔、指紋(電源ボタンが指紋センサー兼)に対応する。
デフォルトの状態では、ドックに「Chrome」、「チャット」、「Mi ビデオ」、「セキュリティ」、「カメラ」を配置。目立つアプリとして、「Mi ブラウザー」、「Mi Home」、「クリーナー」、「ファイルマネージャー」、「トラブル報告」、「ミュージック」、「Booking.com」、「Mi キャンバス」、「Netflix」といったものがある。
頭に”Mi”と付くのが同社製のアプリだ。ほかはほぼGoogle系で特に変わったものはない。あまり色々入っておらず個人的には好印象だ。
ワークステーションモードは、ハイエンドAndroid搭載機によくあるデスクトップモードだ。同時に4アプリまで起動可能。オプションのキーボードなどを組み合わせば、Windows的なノートPC風に使うことができる。
Mi キャンバスのAIアート機能は、ラフな線画から画像を生成する生成AI画像的な機能。適当に書いて、AIペンで範囲を指定するとAIアート項目が現れ、タップすると設定パネルが出てくる。
ここで内容を簡単に書き(日本語でOK)、3Dアート、水彩、漫画、スケッチから出したい絵柄を選べば4パターン生成される。ただクラウド側で生成しているらしくXiaomiアカウントが必要となる。
さすがフラグシップクラスSoCだけあるスコア!
ベンチマークテストは簡易式で「GeekBench 6」と(もうディスコンだが過去との互換性を考慮して)「Google Octane 2.0」の結果を掲載した。ご覧のようにフラグシップクラスSoCらしいスコアとなった。実際試用していても遅いと感じることもなく快適だった。
バッテリ駆動時間は、明るさ、音量共に50%。Wi-Fi接続でフルHD動画を連続再生したところ、ちょうど12時間でバッテリが切れた。このクラスでこれだけ動けば文句なしだろう。
以上のようにXiaomi「Pad 6S Pro」は、Snapdragon 8 Gen 2、12.4型、8GB+256GBもしくは12GB+512GB搭載ののAndroidタブレットだ。SoCがフラグシップクラスなだけにストレスなく動作し、パネル、サウンドのクオリティも👍️。オプションであるがペンやキーボードも利用可能。そして8GB+256GBモデルなら7万円を切る価格と、十分以上の内容に仕上がっている。
少し大きめでハイパワーなAndroidタブレットを探しているユーザーにおすすめできる1台と言えよう。