姉であることが存在理由である咲季が佑芽に対してお姉ちゃんぶることで実存を確認する話。
花海咲季のアイデンティティはお姉ちゃん属性であり、そのためだけに生きてきた。
だが咲季の理想の姉像は歪んでおり、妹に絶対に負けない完璧超人でなければならなかった。
そのことは咲季の活力となり勝負脳や訓練厨にさせた一方で強迫観念をも生み出していた。
だが今更になって佑芽に負けることは精神崩壊に至るのでギリギリの生活に迫られていた。
咲季にとっては妹との関係性こそが全てであり、まさに学マス的セカイ系とも言える。
咲季√で期待されているのは妹に負けメンクラした後で自己解体し新たな生存理由を見い出す事。
今回のシナリオは咲季が歪んだ理想の姉像にどんなに縋りついているかの一端が垣間見れる。
【目次】
咲季の歪んだ「理想の姉」像
花海家はスポーツ関係を生業としており両親が忙しく、咲季が妹・佑芽の面倒を見ていた。幼少期に「姉」でならなければならなかった咲季は理想的な姉として振る舞うことで幼い自我を保っていた。だが、完璧な姉として振る舞うことなど一般的には不可能であり、普通ならば成長するうちに葛藤しながら妥協と落としどころを見つけたであろう。だが、咲季にはそれが出来てしまった。完璧超人として妹に不敗を誇る姉。いつしかその観念は咲季を追い詰めるものとなり、半ば無理やりに理想像を実現するようになっていった。即ち、妹に追い抜かれ敗北しそうになると逃げるのである。咲季は物覚えが良く上達が早かったためプラトー期に入るのが早かった。一方で佑芽は物覚えが悪く不器用だが大器晩成であり一旦コツを掴むと爆発的な上達を見せた。故に咲季は追い抜かれる恐怖に晒され、佑芽に負けそうになると別の競技に移り、佑芽もまた追いかけて来て、それを繰り返すという負のスパイラルに陥っていたのだ。もし咲季が本当にその競技が好きならばプラトー期を乗り越え更なる成長を見ただろうが、咲季にとって競技は妹に勝つためだけの手段にしか過ぎなかったのである。逃げ続けた結果、咲季が最後に辿り着いたのがアイドルであり、ここからはもう逃げられない。咲季は妹に敗北したら今までの人生観が破壊されアイデンティティクライシスとなり精神崩壊するのは必定であるが、それは避けられない事項である。だからこそ、咲季は妹の関係性のみを価値観とするセカイ系から脱却する必要性があるのだ。敗北した咲季を挫折から立ち上がらせるのは、アイドルを妹に勝つための手段としてではなく、目的として捉える事。今回のサポカでは咲季が如何に歪んだ「理想の姉」像に固執しているかが描かれた。
メイク・ファッション・デスドッジ
本シナリオの内容は、メイクの勉強、佑芽のファッションセンス試験、ドッジボール対決。メイクの勉強ではアイドルとして必要な化粧スキルが身についているか佑芽に試す。佑芽はメイクになど1ミリも興味が無く、かつて姉に指導を施されたが、それ以降自分では何もしなかったので、全く成長していなかった。咲季は勝ち誇りながらも佑芽に化粧を伝授することになる。ファッションセンス試験編では街へとデートへ繰り出す咲季佑芽。特訓厨である咲季は最新最良のトレーニングマシンがある学園からは殆ど外出する事が無いと語られる。スポーツ用品ももう既に一流のものを使用しているとのこと。そのためデートは周辺の地理を把握するためだけの散歩に始終するが、佑芽は折角の姉とのお出かけが散歩だけに終わることに憤慨し出す。それを見た紗希は服屋を希望し佑芽にカワイイ服をコーディネートするよう命じる。ドッジボール対決編は千奈が佑芽に絡まれている所を咲季が助けてくれた模様。佑芽の殺人ショットに死の危機を感じていた千奈は助けてくれた咲季をお姉様と言って慕うようになる。それを見た佑芽は汚い唸り声を上げ、自分も咲季をお姉様と呼び、もう一勝負おねだりをする。稀咲は佑芽がクネクネしながらお姉様呼びする姿を見てドン引きしていた。