MAISONdes、『うる星やつら』第2クールOP&EDでも象徴する令和の音楽シーン 自由度の高いプロジェクトの強み
2021年、「ヨワネハキ feat. 和ぬか,asmi」をきっかけにその名を広めたMAISONdes。
“架空の六畳半アパート”MAISONdesの楽曲には部屋番号が割り振られ、毎回異なるクリエイターとアーティストが”入居”し、コラボレーションすることで楽曲が完成する。自由度の高いメンバーの組み合わせが巻き起こす化学反応や、インターネットやSNS中心に活動するクリエイターが作る「六畳半ポップス」が主に若いリスナーの心にフィットしている、注目のプロジェクトだ。
楽曲ごとに異なる作り手、歌い手のコラボが楽しめるMAISONdesの楽曲は、「六畳半の部屋の住人の歌」というコンセプト以外制約がない分、楽曲のジャンルや雰囲気も多岐に渡る。
そのアパートの存在を多くの人に知らしめた「ヨワネハキ feat. 和ぬか,asmi」は、和ぬかの書く自嘲気味な歌詞とasmiのキュートな歌声、リズミカルな譜割りの軽快なバランスでTikTokでも話題を呼んだ。その和ぬかは今年になって再びMAISONdesに入居。1月1日にリリースされた「いつのまに feat. Aimer, 和ぬか」は昨年『NHK紅白歌合戦』出場などでも話題を呼んだAimerが歌唱を担当しており、こちらはAimerの淡い歌声に似合う、口語の歌詞が柔らかくも熱い愛の楽曲となっている。
一方でトヨタ自動車 新型カローラシリーズCMソングで耳にした人も多いであろう「infinite feat. 空音, meiyo」は、ドライブのスピード感を表すような解放感のある楽曲。鬱屈とした日々を吹き飛ばすようなラップの掛け合いや、車になぞらえられた歌詞が気持ちいい疾走感を携えている。
そのほか、「For ten minutes, for a hundred yen feat. さとうもか, くじら」や「Cheers feat. Tani Yuuki,菅原圭」など、令和の音楽シーンを牽引する歌い手、クリエイターが多数入居してきたMAISONdes。各々が音楽シーンを支える人物でありながら、ラッパーからシンガー、ボカロPと幅広いジャンルの担い手が揃っているため、MAISONdesがなければ同じ楽曲に名を連ねることがなかったかもしれない組み合わせが見れるのも魅力だ。
そんなMAISONdesが、人気アニメ『うる星やつら』リメイク版のオープニング、エンディングを2クール連続で担当している。
現在放送中の第2クールでは、「アイワナムチュー feat. asmi, すりぃ」がオープニングに、「アイタリナイ feat. yama, ニト。」がエンディングテーマに起用されている。「アイワナムチュー」はまっすぐすぎる愛を伝える曲だが、〈メンションで伝える気持ち〉〈エナドリにストロー付けたリボン〉といったリスナーが普段使うような言葉を入れた歌詞にインパクトがある。TikTokなどで流行する可能性もありそうだ。「アイタリナイ」の〈あなた以外考えられないや/あたしを好いてあたしだけ見て〉とラムからあたるへの想いを描いたような歌詞は、名曲「ラムのラブソング」をも彷彿とさせる。
このようにどちらも『うる星やつら』のストーリーにぴったりな恋愛を絡めた歌詞でありつつも、「アイワナムチュー」はリアルな歌詞と甘い歌声がギャップを生み出し、「アイタリナイ」はサビのリズムが耳に残るポップな楽曲であるというそれぞれの特徴も。どちらの楽曲もMAISONdesの多くの曲に共通するキャッチーな要素を盛り込みながらも、クリエイターが異なることによってイメージが大きく異なるのもMAISONdesならではの技であると言えるだろう。