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1: 名無しさん@おーぷん
「人丸の後の歌よみは誰かあらん征夷大将軍みなもとの実朝」と子規に絶賛された、実朝の秀歌を訳していくスレやで~

簡潔に、分かりやすく訳していくやで~

2: 名無しさん@おーぷん
今朝見れば山も霞みて久方の天の原より春は来にけり

朝起きて見て見ると、山も霞んでいる。
神々のましますあの空から、春が来た事であるよ。

3: 名無しさん@おーぷん
梅が香を夢の枕にさそひきてさむる待ちける春の山風

梅の香りをのせて、夢を見ている枕元にやってきてくれた春の山の風は、私が起きるまで待っていてくれた事よ。 

4: 名無しさん@おーぷん
この寝ぬる朝けの風にかをるなり軒ばの梅の春の初花

目覚めた朝の風に、軒の春の梅の初花が香っている事だよ。

6: 名無しさん@おーぷん
春来ればまづ咲く宿の梅の花香をなつかしみ鶯ぞ鳴く

春が来れば、真っ先に咲く家の梅の花、その香りが慕わしいので、鶯が鳴き渡る事であるよ。 

7: 名無しさん@おーぷん
春来ては花とか見らむおのづから朽木の杣に降れる白雪

春が来て、花のように見える事であるよ。
偶然にも、朽木の杣に降り、溶けずに残っている真っ白な雪が。

8: 名無しさん@おーぷん
我が宿の八重の紅梅咲きにけり知るも知らぬもなべて訪はなむ

私の家に、八重咲きの紅梅が咲いたよ。
知人も、私の事を知らぬ人も、皆私の家を訪れてほしい。

9: 名無しさん@おーぷん
夏衣たつきの山のほととぎすいつしか鳴かむ声を聞かばや

夏が来た。筑前の山のほととぎすよ、お前はいつ鳴いてくれるのだろうか、お前の声を聞きたいものだ。 

10: 名無しさん@おーぷん
支援
たのしみや

11: 名無しさん@おーぷん
古をしのぶとなしにふる里の夕べの雨ににほふ橘

昔を偲ぶわけではないが、旧都の夕暮れに降る雨に、橘の花が香っている事だ。

12: 名無しさん@おーぷん
今よりは涼しくなりぬひぐらしの鳴く山陰に秋の夕風

今日から涼しくなるのだろう。
ひぐらしが鳴く山の陰に、秋の夕べの風が吹く事だよ。

13: 名無しさん@おーぷん
吹く風のすずしくもあるかおのづから山の蝉鳴きて秋は来にけり

吹く風の、何と涼しい事だろう。
どこからともなく、山蝉が鳴いて、秋が来た事だよ。

14: 名無しさん@おーぷん
たそがれに物思ひをれば我が宿の荻の葉そよぎ秋風ぞ吹く

夕暮れに物思いにふけっていると、私の家の荻の葉を僅かに揺れ動かし、秋風が吹く事だ。 

16: 名無しさん@おーぷん
事繁き世を逃れにし山里に如何に訪ねて秋の来つらむ

煩わしい事の多い世を逃れて、山里にやってきたのに、どういうわけで秋がやってきたのだろうか。 

17: 名無しさん@おーぷん
秋は往ぬ風に木の葉は散り果てて山さびしかる冬は来にけり

秋ははや過ぎてしまった。風に木の葉は散ってしまい、 山が寂しくなる冬が来たことであるよ。 

18: 名無しさん@おーぷん
夕されば潮風さむし浪間より見ゆる小島に雪はふりつつ

夕暮れになって、潮風が寒く感じられる事だ。
波の合間から見える小島には、雪が降り続けている。

19: 名無しさん@おーぷん
月の澄む磯の松風さえさえて白くぞ見ゆる雪の白浜

磯に吹き渡る風が寒く冴えて、澄んだ月が照り、
雪の積もった白浜が真っ白に見える事よ。

20: 名無しさん@おーぷん
わが恋は百島ももしまめぐり浜千鳥ゆくへもしらぬかたに鳴くなり

私の恋は、無数の島をめぐるようなものだ。
浜の千鳥たちが、行先も分からず鳴きまどうように。

21: 名無しさん@おーぷん
世の中は常にもがもな渚漕ぐ海人の小舟の綱手愛しも

この世が、変わらず永遠に存続してほしい。
渚を漕いでゆく漁夫の、小舟を綱で引いていくさまが、愛おしいことだから。

23: 名無しさん@おーぷん
春雨はいたくな降りそ旅人の道行衣濡れもこそすれ

春の雨よ、そんなに強く降ってくれるなよ。
旅人の旅装束が、濡れてしまっては困るから。

24: 名無しさん@おーぷん
今来むとたのめし人は見えなくに秋風寒み雁は来にけり

「今行きましょう」と約束した人の姿が見えぬというのに、秋風が寒いので、雁がやってくるようになった、 
それほど月日が経った事よ。

25: 名無しさん@おーぷん
冬ごもり那智の嵐の寒ければ苔の衣の薄くやあるらむ

冬の参篭で、那智に吹き荒れる嵐が寒いので、
僧侶たちは、法衣が薄いと感じられることであろう。

26: 名無しさん@おーぷん
黒木もて君がつくれる宿なれば万世経とも古りずもありなむ

皮がついた木で陛下がおつくりになった祭殿なので、
限りなく続く世を経たとしても、決して朽ちぬ事でしょう。

28: 名無しさん@おーぷん
山はさけ海はあせなむ世なりとも君にふた心我があらめやも

山が裂け、海は干上がる、そのようにうつろいやすいこの世ではございますが、 わたくしは、陛下の御前に、謀反の心は決して抱きませぬ。 

29: 名無しさん@おーぷん
東の国に我が居れば朝日さすはこやの山の陰となりにき

宮中から東の国に私がいるので、朝日のように輝く陛下の威光の前に、私は山の陰のように日陰者となる事です。  

30: 名無しさん@おーぷん
思ひ出でて夜はすがらに音をぞ泣くありし昔の世々の古言

思い出す度に、夜通し声を上げて泣くことだ。
ありし世の、様々な事を思い出す度に。

31: 名無しさん@おーぷん
春秋は代はりゆけどもわたつ海の中なる島の松ぞ久しき

春と秋が移り変わり、年月は過ぎてゆく。
だが、大海の中にぽつんと佇む島に生えている松は、変わらず長い年月を生きていることよ。

32: 名無しさん@おーぷん
年ふれば老ぞ倒れて朽ちぬべき身は住江の松ならなくに

年を取れば、老いて朽ちてゆくばかりだ。
この身は、住吉の浜辺に生える松ではないというのに。

33: 名無しさん@おーぷん
おのづから我を尋ぬる人もあらば野中の松よみきと語るな

もしも私を訪ねる人があったならば、野に生うる三本の松よ、 その三本の木のように、私を見たとは言わないでおくれよ。 

34: 名無しさん@おーぷん
磯の松幾久さにかなりぬらんいたく木高き風の音かな

磯に生える松は、どれだけ長い年月を生きているのだろうか。
風の音が、たいそう高い木の梢から聴こえてくることよ。

35: 名無しさん@おーぷん
大海の磯もとどろに寄する波割れて砕けて裂けて散るかも

大海の磯が轟くほどに、強く押し寄せる波。
割れて、砕けて、裂けて、散る事よ。

36: 名無しさん@おーぷん
紅の千しほのまふり山の端に日の入る時の空にぞありける

これぞ、何度も何度も染め上げた真っ赤な染物である事よ。
山の端に、太陽が沈んでいく空の色は。

37: 名無しさん@おーぷん
古をしのぶとなくに磯の神ふりにし里に我はきにけり

昔を偲ぶわけではないが、年月を経て寂れてしまった里に私は来たことだなあ。

38: 名無しさん@おーぷん
あはれなり雲井のよそに行く雁もかかる姿になりぬと思へば

しみじみと物思う事だ。遙かなる大空を飛び回る雁も、 人間につかまって、こんな原型をとどめぬ姿になってしまったかと思うと。 

39: 名無しさん@おーぷん
うばたまの闇の暗きに雨雲の八重雲がくれ雁ぞ鳴くなり

暗く深い闇空には雨雲が八重に重なっており、
その雲の合間をぬって、雁が鳴く事だ。

40: 名無しさん@おーぷん
空蝉の世は夢なれや桜花咲きては散りぬあはれいつまで

この現世は夢なのだろうか。桜の花が、咲いては散っていく。
ああ、いつまで散ってゆくのだろうか。

41: 名無しさん@おーぷん
とにかくにあな定めなき世の中や喜ぶものあればわぶるものあり

とにもかくにも、定めのない世の中である事だ。
喜ぶ人もいれば、苦しむ者もいる。

42: 名無しさん@おーぷん
聞きてしも驚くべきにあらねどもはかなき夢の世にこそありけれ

無常なこの世の事、聞いても驚くような事ではないが、 人が亡くなったというのを聞くと、この世は儚い夢の世界であると思われる事だ。 

43: 名無しさん@おーぷん
いとほしや見るに涙もとどまらず親もなき子の母を尋ぬる

かわいそうだ。見ていて涙が止まらない。
両親を亡くした子供が、お母さんはどこと尋ねているのを見ると。

45: 名無しさん@おーぷん
物言はぬ四方の獣すらだにもあはれなるかなや親の子を思ふ

言葉を話さず、その辺りにうろうろしている獣にすら、親が子供を愛おしむ心が存在する。
しみじみと感じいることだよ。まして人の親が子を思う心は、どれほど深い事だろう。

46: 名無しさん@おーぷん
時により過ぐれば民の嘆きなり八大龍王雨やめたまへ

恵みの雨ではあるが、時節により、度が過ぎると民草が嘆くことになる。
八大龍王よ、どうかこれ以上雨を降らせないでください。

48: 名無しさん@おーぷん
ご覧になって下さってありがとう
〆は僕が実朝の和歌の中で一番好きなこれやで~

武士の矢並つくろふ籠手の上に霰たばしる那須の篠原

武士たちが、矢の並びを直している、その籠手の上に、霰が激しく降る那須の篠原よ。

52: 名無しさん@おーぷん
いざ鎌倉

53: 名無しさん@おーぷん
太宰って実朝についての小説書いてんのな
読んでみよ

ネタ元: ・征夷大将軍、実朝の和歌を訳していくやで~