2021年秋、次期ミシガン州知事の座を狙う米共和党候補、ギャレット・ソルダーノ氏が風変わりな選挙CMを公開した。CMに出てくるセリフは「誰が?」という問いかけと、それに対して2回繰り返される「WE THE PEOPLE!(我々国民だ!)」という掛け声だけ。あとの45秒は、ヘヴィなギターリフのループをバックに、ソルダーノ氏が射撃場で様々な武器を使用する映像だ。【動画を見る】ライフル銃「AR-15」をぶっ放す秋の中間選挙を控え、共和党候補者はあからさまなほどに銃一色だ。選挙CMやInstagramの投稿、果てはクリスマスカードにまで殺傷能力の高い銃を手にして発砲する自らの姿を盛り込み、有権者に向けて山のように発信している。もちろん保守派が選挙CMに銃を用いるのは今に始まったことではない。だがトランプ前大統領の任期後――とりわけ任期最後に起きた連邦議事堂襲撃の後で――の扱われ方は、共和党の未来に暗い影を落としている。もし連邦議会で共和党が再び支配を取り戻せば、国の未来も危うい。
インターネット上の右派活動を追跡する研究者ロン・フィリプコウスキ氏は、これまでにも共和党が選挙CMで銃に走る事例をいくつか指摘してきた。同氏いわく、2020年および2018年の大統領選挙サイクルと比較すると、今回の中間選挙では銃を利用するケースが「確実に」増加しているという。
「私も気になり始めて、『一体何事だ?』と思いました」と同氏。「アメリカファースト運動全体が(ローレン・)ボーバート議員や(マージョリー・テイラー・)グリーン議員化し、現在の共和党の原動力になっているかのようです。こうした候補者たちが共和党を動かしています。今では古参の候補者も、自分たちも同じことをしなくては、と感じていると思います」
ボーバート議員は2020年の選挙で銃問題を大々的に取り上げて当選し、昨年には連邦議事堂にグロック銃を持ち込むと誓うCMも公開した。グリーン議員は2020年の選挙CMでアサルトライフルを構え、「極左テロリスト」は選挙区から出ていけと警告し、昨年秋には50ミリのライフルでプリウスを撃破している。ベテラン共和党議員はこうした流れについていくのに苦労しているが、昨年カーキ色のパンツ姿で射撃場に現れた映像を公開したリンゼイ・グラハム議員のように、試してみるべきだと感じていることは確かだ。これが現在の共和党なのだ。