サッカー日本代表のハビエル・アギーレ監督（５５）は１日、今月のキリンチャレンジ杯ジャマイカ戦（１０日・新潟）、
国際親善試合ブラジル戦（１４日・シンガポール）に臨む２３選手を発表。「新しい血を入れる」と宣言した通り９月の試合から８人を入れ替え、
ＭＦ香川真司（２５）＝ドルトムント＝らを選出。だが「Ｊリーグ重視」のはずが首位を走る浦和のフィールドプレーヤーは今回もゼロで不安満載な陣容。

　どうやら勝つのは二の次なのが、アギーレ流のようだ。

　「代表の門は、いつでも開いている」

　この日の記者会見で、アギーレ監督は何度もそう強調した。だが、今回のメンバーも勝つことより試すことに重きを置いたチーム編成といっていい。
しかも、前監督のザッケローニ氏がＪリーガーを無視してメンバー編成してきたことに「私は違う。しっかりＪリーグを見る」と宣言しながら「Ｊリーグ重視」とはいえない陣容だ。

　代表チームを編成する場合、強豪国では候補選手が所属チームで出した結果と実績を重視する。日本ではＪ１で浦和が８月から２カ月間首位を守っている。
多数の代表選出となってもいい状況だ。しかし、招集されたのは今回もＧＫ西川だけ。「アギーレ監督はレッズのサッカーがお気に召さないのですか？」
と質問すると「浦和の試合は２回見た。映像でも８試合ぐらい見ている。将来的にはより多くの選手たちを代表で見たい」。当たりさわりのないお答えをいただいた。

９月に行われたウルグアイ、ベネズエラの２戦を含め、アギーレ監督が全ポジションで１人は招集しているクラブがある。ＦＣ東京だ。
指揮官は「浦和のように失点が少ないチーム。そして、いいＤＦがいるから」と首位の浦和よりも現在６位のＦＣ東京の選手を軸としたチーム編成を続けているのだ。

答えは簡単。ＦＣ東京はアギーレ監督と同じ「４－３－３」戦術で選手の置き方も全く一緒だから。要するに自分の戦術にＪリーグの選手をあてはめるチーム編成。
「３－４－３」で首位を快走する浦和のサッカーがお気に召さないのだ。

日本サッカーは今、土俵際に追い込まれている。この日のアジア大会女子決勝戦で、Ｗ杯王者のなでしこジャパンが北朝鮮に完敗。
同大会に出場していた男子Ｕ－２１（２１歳以下）代表の手倉森ジャパンも宿敵・韓国に敗れ、先月には男子Ｕ－１６（１６歳以下）代表も同国に力負け、５大会ぶりにＷ杯出場を逃した。

アジアで勝てないチームが世界の舞台で勝てるわけがない。日本サッカーの最高峰、Ａ代表も来年１月のアジア杯に臨む。
その前哨戦である親善試合に、リーグ最強クラブの選手を使わずに戦うことになるが、アジアで勝てるチームに練り上げることができるのか。

どの世代にも共通するのは凡ミスの多さと覇気のなさ。首位の浦和よりＦＣ東京を溺愛するアギーレ流で、そんな雰囲気を払拭できるのか。
このままでは、日本サッカーは男女ともに沈没する。

夕刊フジ編集委員・久保武司

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