人生後半の『ほぼ写真日記』

笹の葉8の日々散歩とひとりごと

くまのぬいぐるみ*洋裁店の物語*ミニチュア写真日記

前回


女主人から告げられたのは


ショウウィンドウの片隅にある


カードの文字が見える者だけに起きる


不思議な体験があることだった…


ーーー+ーーー+ーーー+ーーー+ーーー+ーーー+ーーー+ーーー




「えっ」と男は絶句した


女主人は「まぁ座って」と男を促し


「仕事をしながらお話しましょうか


これでも結構依頼があるのよ」と


くまのぬいぐるみを作業台に置いた





このくまはここに持ち込まれた時は


ボロボロで


所々擦り切れていたの


それを洗って乾かし


中綿を詰め直して


形を整えた



ようやくここまできたの


意外に手間がかかる根気のいる作業よ


そして


背中を縫って閉じたら完成…


その時何が起こるかしらねぇ


私にもそれはわからないの


と女主人は言う


                      


次回に続くが


今回は自分の実体験が元になっている


くまが完成してから
何が起こったかの後日談となる


長くなるが興味のある方はお読みください



自分には41歳で亡くなった姉がいる


姉は子どもの頃から


えんじ色のクマのぬいぐるみを
大事にしていた


うろ覚えだが


両親と就寝していた姉は


私が生まれた事によって


祖母の部屋で寝ることになり


その時寂しくないようにと


親が与えたと聞いたことがある


名前は「ころた」と言った



姉が亡くなった時


ひょんなことから「ころた」を
母親が見つけた


その時点でほぼ20年ぶりの再会である


かなり劣化していたが


家庭ごみに出す気には
とうていならなかった


母親は器用な方なので


できる限りきれいにして


お寺で供養してもらいしまつした


ことわっておくが


これは霊能力などの話ではない



すると姉の夢を見た


大きな川が流れる向こう側の
河原石の上で


鮮やかな青葉が茂る山を背に


半袖の青い小花柄の
フレアーワンピースを着ている


とても嬉しそうで


こちらに向かって手をふり


もう一方の手を口元にあて


何か言っていた


溌剌として幸せそうな様子に


お姉ちゃん
今はよいところにいるんだ


というのがその時浮かんだ


率直な感想だった



だから自分は


死後に魂みたいなものがあるのなら


必ず幸せに暮らしていると思っている


くまのぬいぐるみ編はこれで終了ですが


次回は別の注文があるはず


どうぞよろしく


  翻译: