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最近読んだ本 『七つのカップ 現代ホラー小説傑作集』(朝宮運河編、角川ホラー文庫)



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 『七つのカップ 現代ホラー小説傑作集』(朝宮運河編、角川ホラー文庫)を読みました。傑作揃い、ハズレなしの国内ホラーアンソロジーです。


小野不由美「芙蓉忌」
 「営繕かるかや怪異譚」シリーズの一編です。主人公は、かつての花街にある実家に帰ってきた男性。両親と弟はすでに亡く、彼は古い家で一人で暮らします。実家の隣にある料亭から三味線の音が聞こえ、土壁と柱の隙間から、三味線を抱える女性の後ろ姿が垣間見えます。やがて彼は、この世のものではない芸妓に魅入られてしまいます。


山白朝子「子どもを沈める」
 山白朝子は乙一の別名義です。高校生のころ同級生をいじめて自殺させた女性が、大人になって結婚し、出産すると、生まれてきた子供が自殺した同級生そっくりの顔をしていて、いじめられた記憶も持っているという話で、六部殺しのパターンのホラー小説です。
 見当外れで勝手な空想ですが、記憶を持ったまま赤ちゃんとして何度でも生まれ変われる術式を持つ呪術師か呪詛師がいればおもしろいだろうな、と思いました。


恒川光太郎「死神と旅する女」
 『無貌の神』(角川文庫)で既読でしたが、楽しめました。神隠し譚&改変もの&ダークファンタジーの傑作です。


小林泰三「お祖父ちゃんの絵」
 老女が孫娘に、地下室の壁に描いた祖父の絵について語るのですが、この老女の狂い方が半端ないです。


澤村伊智「シュマシラ」
 食玩からUMA、猿の妖怪へと話が繋がり、主人公がたどり着いたのは、兵庫県西部の山奥にある動物園。そこで、異常な体験をします。猿ホラーの傑作。


岩井志麻子「あまぞわい」
 『ぼっけえ、きょうてえ』の中の一編で、明治時代の岡山の漁村を舞台とするホラー小説です。主人公は荒くれ者の漁師に嫁いだ元酌婦。その漁村には「あまぞわい」と呼ばれる黒い洞窟のようなそわいがあります(そわいは、潮が引いた時にだけ現れる岩礁などのこと)。あまぞわいは、海女と尼の泣き声が聞こえるという言い伝えがあります。


辻村深月「七つのカップ」
 通学路の横断歩道の前に、マクドナルドのカップを並べる女性。彼女の娘は、約10年前、その横断歩道で亡くなっていました。怪異ではなく奇跡を描いた、優しく切ないゴーストストーリーです。









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