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最近読んだ本 『白昼夢の森の少女』(恒川光太郎、角川ホラー文庫)

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 『白昼夢の森の少女』(恒川光太郎、角川ホラー文庫)を読みました。


「古入道きたりて」
 山をひとまたぎにする巨人「古入道」の話。ぼたもちを食べたくなりました。


「焼け野原コンティニュー」
 焼け野原で目が覚めた男は、記憶を失っていました。やがて記憶が蘇り、何が起こったか理解しますが、それによって生きる意欲を失います。
 パニックSF。戦争による終末もの。記憶喪失もの。ゾンビものとも言えます。


「白昼夢の森の少女」
 町が生き物ごと蔦に侵食された「緑禍」により、蔦と融合してしまった「緑人」たちは、共有夢の中で平穏な時間を過ごしていましたが、緑禍が起こって約30年後、緑人たちの世界は大きな災いに襲われ、地獄のようになってしまいます。スケールの大きな植物怪談でした。


「銀の船」
 子供のころ、空を飛ぶ巨大な銀の船を夢に見た女性は、19歳になって、夢に見た銀の船、時空船ブリガドーンに乗船し、不老不死になりますが、やがて、衝撃的な結末を迎えます。
 凡人が神に等しい力を持つとどうなるか。「スタープレイヤー」・「ヘブンメイカー」に描かれた世界に通じるものが感じられました。


「海辺の別荘で」
 男が島の別荘のハンモックで読書をしていると、女がシーカヤックに乗ってやってきます。女は、自分は浜辺に流れ着いた椰子の実から生まれたと語ります。「桃太郎はさ、もしも洗濯しているおばあさんが桃を拾いそこねて、海まで行っちゃってさ、で、鬼ヶ島に流れ着いて鬼に拾われて育てられていたら、鬼の仲間になっていたかしら?」という問いかけが印象的でした。


「オレンジボール」
 保健室のベッドで目を覚ますと、ボールになっていた中学生の男の子。ルルという名の女の子に拾われ、オレンジ色に塗られて、部屋に飾られます。安部公房の「棒」を思い出しました。


「傀儡の路地」
 フランス人形を抱いた女性、ドールジェンヌに命令されると、人は必ずその通りに行動してしまうという人形ホラー。主人公はドールジェンヌに操られている被害者の会を作りますが、会合を終えた彼らの前にドールジェンヌが現れます。


「平成最後のおとしあな」
 平成の終わり頃、侵入した別荘の地下室に閉じ込められた女が主人公。泥棒ホイホイのような地下室の壁の受話器が鳴り、女が受話器を取ると、相手は「平成のスピリット」と名乗って、平成についてのアンケートを始めます。


「布団窟」
 12月の寒い日、小学生の男の子が友達についていって辿り着いたのは、子供がたくさんいて、布団がたくさんある変わった家でした。主人公は他の子どもたちと一緒に、布団トンネルや布団カマクラを作って遊んでましたが、やがて恐ろしいことに気づきます。子供の頃の不思議な体験を語る実話怪談。


「夕闇地蔵」
 人とは違うものが視える少年、地蔵助、彼の二歳上の美丈夫、冬次郎、地蔵助にだけ視える雨蛇さまの話。黄泉へと続くと言われる洞窟がある村が舞台のダークファンタジーです。


「ある春の目隠し」
 春、学生時代の友だちと飲んだ後、深夜に廃校の前で、誰かに目隠しされ、「死ぬんだよ、いつかきっと人は」と言われた、怪事件の思い出話です。




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