ずいぶん前に話題になっていてタイトルだけは知っていた作品。
「ケーキの切れない非行少年たち」
タイトルを聞いただけでも「ちょっとどんな作品なんだろう」と気になるのですが、表紙に書かれている丸いケーキの異常な3等分画像の方がよりインパクトがあったので、実際に本を手に取って読んだ方も多いかもしれません。
著者 宮口幸治(みやぐち・こうじ)先生
立命館大学産業社会学部教授。京都大学工学部を卒業し建設コンサルタント会社に勤務後、神戸大学医学部を卒業。児童精神科医として精神科病院や医療少年院に勤務、二〇一六年より現職。困っている子どもたちの支援を行う「コグトレ研究会」を主催。医学博士、臨床心理士。
原作は未読なのですが、現在、漫画版の方がPrime Readingでプライム会員特典で無料で読めたので(第1巻だけ無料です)さっそく読んでみました。
作品の感想の前に……
私は普段からこういった事件などのノンフィクション作品を観たり読んだりするのが好きです。
最近はもっぱらYouTube動画でばかり見てしまいますが、以前にも書いた「調べてみたら」や、詐欺などの事件の真相を探る「ツイセキ」、他にも事件などのまとめ動画、あと報道特集の動画なども好きで見ています。
この「ケーキの切れない非行少年たち」に登場する人物たちの物語は、平穏に暮らしてきた人たちからしたら非行少年たちの抱える「生きづらさ」や悲惨な生い立ちなどに同情してしまう人だっていると思います。
ですが、文字に起こした非行少年たちの語る境遇や反省の弁とその時の態度と、実際に非行少年自らが語るインタビューなどの話し方とでは雲泥の差があることもあります。
・「だから生き抜く。絶対に外に出て死ぬ」 仮釈放が実現しない“マル特無期” 死刑を免れた男達の“生”への執念【報道特集】
・死刑を免れた男達【報道特集】少年犯罪
*YouTube動画にUPされています。動画のURLは貼りませんが興味があったらタイトルで探してみて下さい。
上記の動画は特に悪質な実際に凶悪な事件を起こした無期懲役犯たちの生の声が聞けますが、彼らは「罪を償うために『刑務所で生き抜く』のではなくて、ただ自分が死にたくないから『刑務所で生き抜く』と語っているように思えてしまう。
人の命を奪っておいて……です。
ある受刑者は、自分が「〇刑にならなくて涙が出るほど嬉しかったです」「ホッとしました」などと平気で笑みを浮かべて答えています。
人の命を奪っておいて……です。
被害者遺族が聞いたら憤慨するような発言であり、全く罪の意識を感じられない。と思われても仕方ない。
普通だったら自分が犯した凶悪犯罪を思い浮かべれば「こんな風に言ったらだめだ」「こんな発言してはダメだ」と頭で考えながら話すと思いますが……
彼らにはそれがないのです。
無期懲役犯として30年近く服役していても……です。
犯人たちが命を奪った人達も、自分たち(犯人)と同じように生きたいと思っていた。
ということを全く考えずに発する言葉の数々に驚かされます。
文字として載っている犯罪を犯した人間の裁判記録などを読んでいる時、ほとんどの人が犯人の発言する事件の内容を文字におこしにした部分は、罪の意識のある人間の言葉として過去の罪を後悔しながら語っていると想像して読んでしまうと思うのですが、実際のインタビューを聞くと「ハイ、ハイ」と更正したかのような礼儀正しい返事はしているものの、凶悪な犯罪を犯して無期懲役犯として刑務所生活を送っているにもかかわらず、記者と事件の話をしている時にはまるで他人事のように語る場面も多くて驚きます。
そのくせ自分のこれからのことを「出所したらこんなことをしたいですね」などと明るく語るのです。
被害者の将来を奪っておいて、自分の将来は嬉しそうに語る。
被害者の無念を思うと毎回こういった凶悪犯罪者のインタビューには吐き気がします。
「ケーキの切れない非行少年たち 漫画版」の話からだいぶそれてしまいましたが……
まだ無料版の1巻しか読めていません。
でも漫画版はとても読みやすいです。
物語は淡々と進み、絵柄は決して綺麗とは言えませんが、1つ1つの表情の表現などはとてもリアル感がありました。
1巻の内容的には、少年院に収監される非行少年たちの中で、少なくない確率で境界知能(IQの低い子供たち)の少年少女がいる。
そのグレーゾーンの子供たちへの気づきを大人に促しているような内容のような気がしました。
境界知能を題材にしていることもあり原作本がベストセラーになった時も賛否はあったようです。
境界知能の疑いがある子供には以下のような特徴があると言われています。
・見る、または聞く力が弱い
・予想外のことにすぐ対応できない
・感情をコントロールすることが苦手
・作業をすばやくおこなうことが苦手
・論理的に物事を説明することができない
・力の加減ができない
これは本書同様に全ての境界知能の子供が犯罪者=と決めつけるものでは決してありません。
例えばですが、家庭環境が劣悪で貧乏で親の愛情不足な放置児童が必ず非行に走る。
ということはありません。
それは私が身をもって証明できます(笑)
ただ非行に走ることはなかったけれども「生きづらさ」を感じて過ごしていたことには納得してしまう部分もありました。
それは大人になった今でも感じています。
本書は、全ての境界知能(IQの低い子供たち)が犯罪者予備軍だと言っているわけではなく、そこに行きつくまでの「生きづらさ」にも焦点をあてているような気がしました。
それと同時に境界知能の人は一見すると健常者と見分けがつかず、生きづらく困っていても自分から支援を求めることも難しいために(その考えに至らない)放っておかれてしまうことも多い。
犯罪者予備軍となる前の子供のサインを見逃さない大人への「気づき」の大切さも訴えているのかもしれません。
子供たちが読むというよりも大人こそが読む作品かもしれません。
私は親になったことはありませんが、親であろうとなかろうと、大人になればなるほど自分よりも若年層と接する機会も多くなってきますから。
ただ私は、犯罪者には厳罰を‼派です。
事件の背景には犯人の境遇などの色々な問題もある場合もありますが、身勝手な私利私欲の軽犯罪と呼ばれる事件や詐欺事件などでも、犯罪の入り口で厳しく罰して欲しいとも思っています。
それが被害者だけでなく犯罪者となる人間をも増やさないことにも救うことにも繋がると思っています。
まだ1巻しか読んでいないので本書の感想は全く書けませんでしたが、続きも気になっているので2巻~4巻もKindle Unlimitedに登録して読んでみたいと思っています。
今まで登録していなかったので(スマホがボロくてアプリがダウンロードできなかったのもありますが)Amazon Kindle Unlimitedは、初めて登録すると30日間無料で楽しめます。
今のところ全作品無料で読むことは出来ませんが、1~4巻まではKindle Unlimitedで無料で読めそうです。
プライム会員の方でしたらKindle Unlimitedに登録しなくても1巻だけは無料ですぐに読めます。
今日はちょっと重たい話も書いてしまいましたが、簡単に人間としての一線を越えてしまう「人の心理」に興味のある方の少しでも参考になれば……
今日も読んで下さりありがとうございました。
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