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目次
日常の難題を解くブロック分けの力
突然PCが動かなくなって、サポートを呼んだことはありませんか?
そして、結果としてそれが単に電源コードが抜けていたり、接続ケーブルが間違っていたりという簡単な問題だった・・・。 そんな時は恥ずかしい気持ちになりますよね。
この記事を読めばそんなことはなくなります。なぜなら、皆さんに提案する「ブロック分けの考え方」を使えば、複雑な問題も小さな問題に分けて取り組むことができるからです。そして、その小さな問題を解決していくことで、全体としての大きな問題を解決していけるのです。
具体的には、以下のような手順で説明を進めていきます。
- まずは、ラジオの具体的な例から、ブロックに分けて問題を解決するという概念を紹介します。
- それから、日常生活における料理の例を通じて、この考え方がどのように生活の中で使われているかをご覧いただきます。
- 最後に、この考え方が文章作成にも適用できることを示します。
それでは一緒に、ラジオから学んだ「ブロック分けの力」について探求していきましょう。
ラジオの内部:ブロック図で見る変換の旅
ラジオは放送局から発射された電波を耳に聞こえる音波に変換します。
トップの写真はトランジスタラジオです。部品がゴチャゴチャならんで、なぜ、電波から音が生まれるのかを理解するのは大変です。しかし、ブロック図をみれば動作原理は一発でわかります。*1
鉱石ラジオ
まずはWikipediaを基に内部構造が単純な「鉱石ラジオ」のブロックを紹介します。
(the Creative Commons Attribution-Share Alike 3.0 Unported license)
各ブロックの動作は以下のようなものです。
- アンテナ、アース
空中を伝わる電波を電気の流れに変換します。 - 同調回路
空中にはあらゆる周波数の電波が発射されています。
船舶無線などの長波、AMラジオなどの中波、短波、テレビ、携帯、宇宙通信など膨大な電波が発射されています。
その中から希望する信号を取り出します。どの周波数をとりだすかはコイルとコンデンサで決まります。
コイル:
銅線を巻いたコイルは周波数が高くなると電気が通りにくくなります。
コンデンサ:
2枚の広い板の間に静電気がたまるイメージの部品です。電極が離れていますから、直流は全く通しません。低い周波数の交流は通りにくく、高周波は通りやすいように見えます。 - 検波回路
同調回路から取り出された電気信号は、(+)と(-)が交互に変化するもので、それではイヤホンで音に変換することができません。片側だけの信号を通過させる回路です。
一方向にしか電気を通さない部品があればその機能は実現します。それが鉱石です。なぜ鉱石によってこのような現象がおきるのかは解明されてません(wikipedia:「鉱石ラジオ:原理」) -
受話器(レシーバー)
音に変換するイヤホンです。
・コイルと磁石で振動板を動かして音波を作ります。
・ 圧力を加えると電圧が発生し、電圧を加えると形が歪む性質を利用したクリスタルイヤホンもあります。
「鉱石ラジオ」は電源がありません。アンテナで生み出した電気を「検波」して、その電気でイヤホンを動作させていますから、大きな音はでません。
それぞれのブロックを高性能なものにするのはどうすれば良いか、とまたいろいろと工夫する訳です。
スーパーヘテロダイン受信機
下の図は、高周波1段、スーパーヘテロダイン方式のラジオ受信機のブロク図です。
(クリエイティブ・コモンズ 表示-継承 3.0 非移植ライセンス)
この図は「Wikipedia:受信機」からお借りしました。スーパーヘテロダイン受信機がブロックごと機能があり、ひとつひとつのブロックが機能を発揮することで電磁波から音声信号が作られているのがわかると思います。
ここでは詳しい説明はしません。興味のある方は「Wikipedia:受信機」を御覧ください。
PCに不具合が起きたら
電子回路がブロックごとに問題を段階的に分割して解決しているのが分かったら、PCの不具合について考えてみましょう。
- 全く動いている様子がない
停電ではないですよね。電源コードは? 電源ブロック? 電源ブロックを交換してテスト出来るなら、直せます。 - 異常は本体か、モニタか 、切り分け重要
PCの画面が映らなかったら、異常があるのは、本体か、モニタかの切り分けを考えます。
動作ランプを確認。
別なモニタを接続してみて、動けばモニタが原因です。 - PC本体もブロックになっている
ビデオカードが拡張ボードに刺さっていれば、切り分けることを考えられます。
ネットワークが通じないのはどこが原因かもブロックで考えます。
機能別にブロックとして考えれば、電源コードが抜けているのに、サポートを呼んで恥をかき、お金までかかってしまうということはなくなります。
ここではWindowsのデスクトップPCについて解説しました。MacBook や iPhone もブロックで動作していますが、集積度の高い電子回路は個人が修理するのにも限界があり、本体ごと交換することが多いようです。
ブロック分けで考える天ぷらの作り方
Photo by (c)Tomo.Yun
天ぷらの作り方を「材料の選択」、「作り方」、「盛り付けの考え方」のブロック分け、さらにそこから分割して、考えてみました。
材料の選択
- 天ぷら粉の選ぶ
Bing に聞くと次のように言いました。
天ぷら粉を選ぶ際には、原材料が重要です。天ぷら粉にメインで使用されている原材料には「小麦粉」「米粉」「べサン粉」の3種類があります。それぞれ違った特徴があるので、用途や好みに合わせて選ぶと良いでしょう。
参考:「【2022年】天ぷら粉の選び方とおすすめ人気ランキング10選【市販のものでもサクサク揚がる】」天ぷらは「小麦粉」(薄力粉)と思っていたのですが、「米粉」「べサン粉」を使うのを初めて知りました。
私は「日清フーズ コツのいらない天ぷら粉」を使っています。
「冷水不要」「卵不要」と右下に印刷してあります。 - 揚げるものを選ぶ
Bing に聞いてみると、次のような食材をオススメしてきました。天ぷらとして揚げる材料としては、さつまいもや蓮根などの根菜類、かぼちゃやインゲン、椎茸やししとうなどの野菜、えびや穴子などがおすすめです「1」。
私の好きなナスが入っていません。チクワ、大葉、庭に生えているアシタバ、シュンギクなどもありますね。 - 油を選ぶ
Bing は次のように教えてくれました。
天ぷらを揚げるための油には、以下のような種類があります。
サラダ油:一般的に使用される油で、天ぷら用の揚げ油としても問題ありません。
キャノーラ油:一般的に使用される油で、天ぷら用の揚げ油としても問題ありません。
ごま油:酸化しにくいため美味しい天ぷらを揚げやすく、天ぷら専門店のような仕上がりになります。
コーン油:天ぷらに向いています。
こめ油:味は軽く、食べた後の胃のもたれが少ないので、日本料理には欠かせない油です。天ぷらに向いています。
それぞれの油には特徴がありますので、自分の好みに合った油を選んでみると良いでしょう味や香りを左右します。また、温度の上がりやすさ、煙りやすさも重要です。
伊豆の大島に行ったとき、椿油が使われた天ぷらを食べました。とても美味しかったです。
椿油で揚げた天ぷら、とても美味しそうですね。椿油は、椿の種子から抽出される油で、伊豆大島は椿油の生産地としても有名です。椿油は、独特の香りがあり、天ぷらに使用すると素材の風味を引き立てる効果があります。また、椿油は酸化しにくく、高温にも強いため、天ぷらに適しています。
作り方
- 油の量・温度
量:鍋の七分目くらい。5~6カップは必要。
温度:約160度〜180度
・160度前後 三つ葉、パセリ、大葉など、火の通りにくいレンコン、さつまいも
・160度〜180度 それ以外のもの
温度の見分け方:
うすい天ぷらの衣の一滴を油に落とす。
・160℃以下:底まで沈んでなかなか浮き上がらない。
・170~180℃以上:中頃まで沈んで浮き上がる。
・200℃以上:表面ですぐ散る
私は見極める自信がないので、デジタル式の赤外線放射温度計を使って測定しています。 - 衣の作り方
私は「日清フーズ コツのいらない天ぷら粉 」を使っています。
天ぷら粉:100g 水:160ml(160g)泡だて器でよく混ぜています。
【それ以外の場合】
水の温度:一旦冷やすか、氷水。
卵:1個をよくとぐ
混ぜすぎない:粉がブツブツ残ってもいい。 - 揚げ方
1.具材を衣にくぐらせ、油に落とす。入れ過ぎない。
2.天かすを取り除いたり、油の温度が低そうなら火を強めたりする。
3.衣がきつね色になり、音が小さくなったら取り出す。
4・油が熱くなると「パチパチ」という音がする。
盛り付けの考え方:
最新の「Google Bard」に聞いてみると次のような返事がきました。
揚げた天ぷらの盛り付けをするときの注意点を教えてください。
揚げた天ぷらの盛り付けをする際の注意点は次のとおりです。
- 天ぷらを盛り付ける器は、深すぎず、幅広のものを選ぶこと。
- 天ぷらは、油を切ってから盛り付けること。
- 天ぷらは、色が濃い順に盛り付けると、見た目がきれいになります。
- 天ぷらの上に、刻んだ海苔や青のり、細切りのネギなどを散らすと、彩りが加わります。
- 天つゆを添えて、すぐに食べること。
(私は「ヤマサ 昆布つゆ 1000ml」を薄めて使っています。)
天ぷらの作り方をブロックで解説してみました。ブロックを更に分割してさらにブロックにするという作業はどんどん細部の詳しい説明に入っていきます。
もっと詳しく書くべきかと思いますが、このへんで失礼します。
ブロック分けで考える文章の書き方
作文が大嫌いの子どもでした。
「自由にのびのび書いてください。」そんなことを言われても・・・。何をどう書けばいいのか全く分かりません。
文章が書けるようになったのは、「文章の型」を知ってからです。
ここでは、アメリカ流「エッセイの型」と日本流「起承転結型」について考えていきます。
日本流「起承転結型」
「日本の随筆とはどんなものですか?」「随筆の書き方を教えてください」と、最新の「Google Bard」に聞いてもパッとした答えは帰ってきません。
こう聞いてみました。
起承転結の型で文章を書く方法を教えてください。
起承転結で文章を書く手順は次のとおりです。
- 起:
文章の導入部で、読者の興味を引くものです。これは、質問をしたり、事実を述べたり、ストーリーを語ったりすることで行うことができます。- 承:
主題を紹介し、詳細を述べる部分です。これは、主題を定義したり、例を挙げたり、理由を述べたりすることで行うことができます。- 転:
主題を別の視点から見たり、新しいアイデアを紹介したりする部分です。これは、反対意見を述べたり、対比を行ったりして行うことができます。- 結:
文章をまとめ、主題を要約する部分です。これは、結論を述べたり、要点をまとめたり、行動を促したりすることで行うことができます。起承転結は、読みやすい、理解しやすい文章を書くための優れた方法です。あらゆる種類の文章を書く際に役立つ万能の型です。
「Bard」がリリースされてことについて「起承転結の型」で文章を作ってください。
はい、喜んで。Bard のリリースに関する記事です。
- 起
Bard は、Google AI の新しい大規模な言語モデルです。テキストの生成、言語の翻訳、さまざまな種類のクリエイティブコンテンツの作成、質問への回答を行うことができます。Bard はまだ開発中ですが、詩、コード、スクリプト、楽曲、メール、手紙など、さまざまなクリエイティブなテキスト形式のテキストコンテンツを生成できます。- 承
Bard は大量のテキストとコードのデータセットでトレーニングされており、幅広いプロンプトや質問に応じて人間のようなテキストを通信および生成できます。たとえば、事実のトピックの要約を提供したり、ストーリーを作成したりできます。
Bard は、さまざまな種類のタスクに使用できる強力なツールです。教育、ビジネス、クリエイティブライティングなど、さまざまな業界で役立ちます。- 転
ただし、Bard にはいくつかの制限もあります。完璧ではなく、常に正しい答えを返せるとは限りません。また、誤った情報や不快な情報を含むテキストを生成することもできます。- 結
全体として、Bard は魅力的で強力なツールです。さまざまな種類のタスクに使用できますが、制限があることに注意することが重要です。
いかがでしょうか、文藻がブロックになっているのが分かったかと思います。
アメリカ流「エッセイの型」
アメリカ流のエッセイは、日本で言う随筆とは違って、意見を述べるツールです。
「序論」、「本論」、「結論」の3つのブロックに分かれ、この記事ですと「本論」がさらに3つに分かれています。
英語流に言えば、この記事は次のようなブロックになっています。
- イントロダクション(Introduction)
以下の2点について語っています。
・大きな問題も「ブロック分け」の考え方で小さなく分けて考えれば、少しずつ考えが進み、問題に対処できるようになりる。
・これから、実例を示して説明する。 - ボディ(Body)
1.ラジオの内部:ブロック図で見る変換の旅
・鉱石ラジオ
・スーパーヘテロダイン受信機
・PCに不具合が起きたら
2.ブロック分けで考える天ぷらの作り方
・材料の選択
・作り方
・盛り付けの考え方:
3.ブロック分けで考える文章の書き方
・日本流「起承転結型」
・アメリカ流「エッセイの型」 - コンクルージョン(Conclusion)
「まとめ」「結論」なのですが、今回はこの記事を書こうと思いついたエピソードをかきました。
最初は「イントロダクション」に含めようとしたのですが、話がすっきりとまとまらないので「最後に」という形でコンクルージョンに書きました。
いかがでしょう。ブロック分けで考えれば問題を把握しやすく、細部に渡って説明したり、論じることが出来ることに納得いただけたでしょうか。
最後に
最後に、この記事を書いた背景について少し話させてください。
ある日、ふと目にした一つの記事がありました。「ラジオ(電子回路)って凄いな」という題の記事です。
この記事を呼んで、アマチュア無線の免許を取るためにラジオの回路を学んだことを思い出して、こんなことをブクマコメントにかきました。
私はラジオから物事は分割してブロック毎に問題を解決する事を学んだ。機能を増やすためには、問題点さらに分割する。それは、TVもPCもソフトも同じ。
2023/05/04
そうしましたら、思いがけず何人かから賛同のスターを頂きました。私の考えにに共感してくれる人がいると知ったとき、この考え方をもっと多くの人に知ってもらいたいと思いました。
理系の人にとっては当たり前の考え方ですが、役に立つ人がいるかも知れないと思いこのブログを書くことにしました。
この記事を読んでみて、いかがでしたでしょうか。
これから何かを学ぼうとする若い人に役立てば幸いです。
こまで読んでくださり、ありがとうございました。ブロック分けの力を活用し、自分の生活をより良くするために活用してください。
*1:トップの写真はWiipediaの「ラジオ」からお借りしました。私は電子部品には詳しくありませんが、ある程度は様子がわかります。
- 中央の「49506-5 75Ω 0.1W」は音を出すためのスピーカですね。
- 右のギザギザダイヤルは音量を調整するためのダイヤル。それが可変抵抗につながっています。
- 「98721-2 MEI 6436」 はバリュアブルコンデンサーです。何枚かのアルミニウムの板が交互に重ねられ、ダイヤルを回すと重なった部分の面積が変化します。それによってアルミ板の間にたまる電気が変化し、共振回路の共振周波数が変化します。これによって、受信するラジオ放送を選択する訳です。
- 他にトランジスタ、抵抗、コンデンサ、コイルなどがあります。トランジスタの番号から、高周波増幅用、低周波増幅用、検波用、電源用とか分かるかもしれません。