タイ東北部のコーンケン。タイでは比較的大きな都市の一つである。とはいえ、タイではバンコクが随一の人口500万人超の都市であるのに対し、地方都市は軒並み非常に規模が小さく、日本で言う政令指定都市レベルの人口を持つ都市は存在しない。人口10万人を超える都市でさえ5~6県に一つしかない程度なのだが、コーンケンはそのうちの一つである。
この街は要所にあるので、何度も通過もしたし、泊まって街を歩いたこともある。しかし、実はそれほど印象に残っていないし、写真も数えるほどしかないのだ。
もちろん今ほどパシャパシャと写真を撮る時代でもなかったし、ゆっくりと滞在していなかったこともあるかも知れない。
あまり印象に残っていないというのは、特別なトラブルがなく、それなりに楽しく快適に過ごせたことの証なのだろうと今となっては思う。だから悪いことではない。
なるべく避けようと思うはずのトラブルや事件が、後になって印象的な思い出となるのは皮肉なことではある。とはいえ、やはりわざわざ虎の尾を探して踏む気にはならない。
というわけで、いくつか何の変哲もない町並みの写真が残っていたが、正直どんな気持ちで撮ったのか、どんな場所だったのか、さっぱり覚えていない。なんとなくこんな場所も行ったかなぁ、という程度である。もしかしたら、また別の鍵が記憶の扉を開くことがあるのかも知れないのだけれど。
【写真】2006年5月
【文章】2019年7月