田中碧:「ドイツとスペインに勝った経験は何物にも変えられない」

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カタール2022から1年。勝利の立役者の一人である日本代表の田中碧に、ワールドカップの振り返りやその経験がいかにして今のサムライブルーにプラスに働いているかなどについて語ってもらった。

【@FIFA】

1年前、サムライブルーが2010年W杯王者であるスペインを相手に金星を挙げたニュースは世界に衝撃を与えた。グループステージの初戦でドイツに勝利してサプライズを起こした日本代表は、またしてもヨーロッパの優勝経験国を破ってドラマを巻き起こし、ノックアウトステージにグループ首位で進出を決めたのだ。

決勝ゴールとなった田中碧の2点目は、ワールドカップ史上に残る摩訶不思議なゴールの一つとして記憶されている。左サイドの三笘薫が折り返したアシストのボールはゴールラインを割っているように見えたが、ゴールラインテクノロジーによってわずかに残っていることが確認され、ゴールが認められたのだ。

日本がスペインに勝ったという事実に加えて、この2点目のゴールがこの試合の印象をさらに色濃くしている。今回FIFAはスペイン戦で決勝ゴールを決めた田中碧に独占インタビューを行い、このゴールの舞台裏や当時の心境、さらに次のワールドカップに向けた想いなどについて語ってもらった。
FIFA:まずはカタールワールドカップから1年が経ちましたが、あらためて田中選手にとってどんな大会だったのでしょうか。


田中:自分が思っていたよりもはるかにすごい大会だと感じましたね。(クロアチアに負けて)最後には結局悔しさしか残らなかったですけど、世界中の人がこの大会に熱狂する理由を理解することができました。

個人的にまだまだだなと痛感させられた大会でしたし、(フランス対アルゼンチンの)決勝戦を見てなおさらそれは思いましたね。僕だけではなく、サッカーをやっている人全員にとって刺激になる試合でした。

スペイン戦では見事な決勝ゴールを決めて歴史的な勝利に貢献しました。あのゴールについて振り返ってもらえますか。

ゴールかゴールじゃないかは、ゴールラインテクノロジーがあるので、正直あまり僕が意見できることはありません。ただ、あのゴールは僕だけではなく、チーム全員で後ろからつないで決めることができたゴールでした。思い描いていた形ではなかったですが、たまたま僕のところにボールが返ってきて、それをうまく入れることができてよかったなという感じです。

(意識し始めたのは)アジア最終予選のメンバーに選ばれたあたりからですね。日本代表として招集されて、このままA代表のメンバーとして活躍し続けたいと考えた時に、必然とワールドカップも視野に入ってきたので、そこから意識するようになりました。

【@FIFA】

森保監督はワールドカップが終わった後も日本代表の監督として続投しましたが、彼の存在や印象はどんなものなのでしょうか。

ブレない芯を持った監督だと初めて会った時から思っています。(周りからの評価について)批判はどんな時でもついてくるもので、僕らは全く気にしていませんでした。先頭に立って道を示してくれる姿勢を見せてくれて自分たちを信じ続けてくれたからこそ、チームの選手も「この人についていこう」となったと思いますし、あの一体感を生み出せたのだと思います。

あのワールドカップの後も世界でも日本の存在感はますます上がってきていて、先日のアジア予選では2戦連続の5ゴールで圧勝しています。カタールワールドカップでの経験は、日本をどのように変えたのでしょうか。

ワールドカップでドイツとスペインに勝った経験は何物にも変えられないですね。そこで得た自信が選手や国に間違いなくポジティブに作用していると思います。

その先のことを考えた時に、基準はドイツやスペインやそれ以上の国を倒すために何をしないといけないかに変わりますし、代表に選ばれている選手たちもその高い基準をクリアするためにさらにハードワークをしています。

その高い基準が今のチームの好調の要因の一つになっていますし、アジア予選の結果にも出てきているので、今のところはいい循環になっています。

(アジア予選に限らず)いつどんな試合も勝つのは簡単ではないです。サッカーではどんなことでも起こり得ます。ワールドカップで優勝するという高い目標を掲げている中で、重要度が低い試合でもどれだけ自分たちが目指しているものを表現できるかが大事になってくると思います。

次回のワールドカップは2026年ですが、これに向けた目標や田中選手の意気込みを聞かせてください。

個人的にはワールドカップで優勝することを目標に掲げても恥ずかしくない選手になった状態で次回の大会を迎えたいです。現時点で可能性はあるかもしれないですが、それに値する選手かと言われるとそうではないと思っています。

残りの3年でどれだけ成長できるか、自分自身が納得できるレベルの選手になって、ワールドカップ優勝しても不思議ではないではないチームの一員になれるように過ごしていきたいです。
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