FIFAワールドカップカタール2022は日本時間14日、準決勝・アルゼンチン対クロアチアの試合が行われ、アルゼンチンが3-0で勝利。翌15日にはフランスがモロッコを2-0で下し、同18日の決勝はアルゼンチン対フランスとなった。
「最後のW杯」となるFWリオネル・メッシ率いるアルゼンチン。1978年の自国開催、1986年メキシコ開催に続く36年ぶり3回目の優勝へ、その「キーマン」をスタッツから読み解く。
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■ロシア大会ではメッシが不発
アルゼンチンとフランスは、ともに過去優勝2回。対戦成績はアルゼンチンが6勝(15得点)、フランスが3勝(11得点)、直近では2018年ロシアW杯の決勝トーナメント1回戦で対戦し、ここではフランスが4-3で勝利している。
この試合でメッシは無得点に終わり、一方のフランスは当時19歳のFWキリアン・ムバッペが2ゴールと躍動、激戦を制したのはフランスだった。
今大会のメッシは全試合にフル出場し、得点ランキング1位の5得点を記録。アルゼンチンの原動力となっているのは、やはり“神の子”メッシなのは間違いない。しかし、そのメッシの活躍と連動し輝きを放っているのが、次代を担う22歳のストライカー、FWフリアン・アルバレスだ。
今回が初のW杯となるアルバレスは、グループステージ第2節までは途中出場だったが、第3節からはスタメンに抜擢され、ゴールを量産している。
アルバレスのここまでのスタッツを振り返ると、出場時間は362分と主力の中で多くはないものの、限られた時間の中でシュート10本、枠内シュート7本、4得点を記録。特に枠内シュート1本あたりの得点数は「0.57」と、メッシ(0.20)のほか敵国フランスのムバッペ(0.50)を上回る数字を記録している。
■神の子に次ぐ若手に期待
ボールへの嗅覚や保持能力、縦横無尽に動き回る豊富な運動量がアルバレスの強み。それが顕著に出ていたのが準決勝のクロアチア戦であり、この試合の先制点のシーンでは、アルバレスが味方のパスにいち早く反応すると、勢いよく前線のスペースに飛び出しPKを誘発した。また、その後の追加点のシーンでは、カウンターにいち早く反応しボールを受けると、1人で40mほど持ち上がり、そのままクロアチアのゴールネットを揺らした。
これらのプレーから分かるように、展開を先読みしたポジション取りが巧みで、さらにボール保持力も高い。ディフェンダーのマークを振り切る能力が高く、それが効率の良いシュートにつながっている。
メッシも35歳となり、体力的には全盛期と比較すると衰えが見られる。その衰えを経験と技術で補っているが、1人でアルゼンチンを優勝に導くのは難しい。しかし、今回はメッシに次ぐ若手として、アルバレスが台頭してきた。
今大会でブレイクしたアルゼンチンの将来を背負うストライカーは、10年前は自身の憧れメッシと共に写真の中で笑顔をみせていた。しかし10年後の今日、彼はワールドカップという夢の舞台で憧れの存在と共にプレーし、チームの躍進に貢献している。神の子メッシがラストと位置づけたこの大会で出会った若きストライカーが、母国を36年ぶりの世界制覇へと導くキーマンとなれるか。決勝での活躍に注目したい。
◆フランス、過去7大会で4度目の決勝進出 ジダン擁した1998年と前回ロシア大会で優勝
◆メッシ、クロアチア撃破に「求めていたところに到達した」 “最後のW杯”決勝は「楽しみたい」
文●SPREAD編集部