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Diposting: 28 Mei 2014 @ 3:53am
Diperbarui: 22 Sep 2016 @ 12:13am

1518年――エルナン・コルテスが三度目の南アメリカ本土探検隊隊長に選ばれ、アステカ帝国を征服する以前の年。
だがその日がやってくることはないだろう。なぜなら彼より先にあなたが征服するからだ。

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Expeditions: Conquistador はそのタイトルが示すとおりの新大陸探検サバイバル&征服ストラテジー。10名からの隊員を率いるコンキスタドールとして、史実ではスペインのコルテスが行ったアステカ帝国探検・征服を体験するゲームである。
歴史を基にしたゲームではあるがコルテスの足跡をそのままなぞるものではなく、プレイヤーキャラは架空の人物である。他にも1518年より前に大規模なメキシコ探検を行い失敗して行方不明となった人物がいたり、原住民の勢力図がアステカとトトナカの二大勢力の対立という形に改変・単純化されていたりと史実との相違は多いが、スペイン人視点の物語としてはおおむね歴史に対して真摯に向き合っているといえる。

ゲームシステムは基本的には洋RPG的なフィールド探検モードとヘックスのターン制ストラテジーである戦闘モードに分かれている、King's Bounty などに似た作りである。しかしながら探検・サバイバルという本作のゲーム目的のため、実際はかなり独特なものになっている。
本作の主要素である探検だが、スタート時の地図は海岸線以外は全く不明な状態であり、未開のジャングルを探検していくというもの。この感覚は実際にプレイしていただかないと伝わらないとは思うが、これが非常に探検している感が出ていてとても楽しい。地理は必ずしも正確ではないが(特にメキシコ編の地理は大胆に改変されている)、それだけにゲーム的な探検の楽しみがあるというもの。
そして未開で危険なジャングルを探索するにあたって、プレイヤーは探検隊の隊長として食糧(Rations)・薬剤(Medicine)・財貨(Valuables)を管理し、隊員の士気・健康維持に気を配りながらサバイバルしなくてはならない。食料を切らせば士気が下がるし、戦闘やイベントで負傷した場合は薬剤を消費して治療するまで戦力から外れ、放置していると最悪死亡してしまう。これが難易度が高いとなかなかシビアで、財貨をできるだけ節約しながらやりくりしていく必要がある。これらの物資は財貨で購入するほか探検中にも手に入るが、隊長(プレイヤーキャラ)の能力や選んだ隊員のプロフェッションによって入手量が変わってくるので、自分なりの部隊運営を模索するのも楽しみのひとつである。
手に入れた財貨を惜しみなく消耗品購入に充てれば進行に困ることはなくなるだろうが、未到達地の探検・征服だけでなく、より多くの金銀財宝をスペイン本国に持ち帰ることもコンキスタドールとしての使命の一つであることを忘れてはならない(5万以上のValuablesを本国に持ち帰る、というSteam実績があります)。
またヘックスの戦闘についても、とくに革新的なものではないが、AIの甘さは多少あれどストラテジーとして難易度が低いものではないし、マップの使い回しは(多分)一切ないので毎回新しい地形で戦えたりと堅実で良質な作りである。

このようにシステム面だけでも大変魅力的なのだが、我々歴史好きにとっての本作最大の特色は、まさにコンキスタドールを題材とした点にある。まずコンキスタドールを主役とした新大陸征服ゲーム自体(知る限り)他に例がなく希少であるが、本作はそればかりでなくヒストリカルな文脈や雰囲気をとても重んじているのだ。
新大陸征服の歴史というものは、ミクロかつ近現代人的な視点で見れば、原住民を人間扱いせず、騙し、略奪し、土地を奪い、時には虐殺するという残虐行為そのものであるが、本作はそれを美化することも貶めることもなく、歴史上の出来事としてそのまままっすぐに扱っている(残虐行為を行う際に差別者としての立場を言い訳がましく強調したり、謎の近代的ヒューマニストが出てきて普遍的人権を説いたりということがない)。こうしたスタイルのおかげで、原住民の村を焼き払い、略奪の限りを尽くすといった行為が、よくある「悪人ロールプレイ」のような露悪的なものではなく、当時の西洋人と同様に罪悪感も開き直り的な昂揚もなくごく自然に行えるのだ。

こうした歴史の描き方はParadox社のゲームなどとも共通しているが、本作の場合はその描写自体がゲームの根本をなしている点が違っている。例えばパラドゲーの場合、植民のために原住民を皆殺しにしたり、逆進課税で労働者階級から搾り取ったりという行為はあくまで帝国運営の一要素にすぎないため、無感動な描き方もある意味当然ではあるが、本作はプレイヤー自身がコンキスタドールとして人間と直接向き合っている点が特別である。
この歴史を描く上での自然な醜悪さという感覚は歴史小説などではよく見られるが、歴史ゲームとしては希少であり、特に本作の表現技法は本当にすばらしい。こうしたゲームがこれからも増えてくれることを望んでやまない。

長くなってしまったが、個人的にはここ数年で一番の衝撃を受けたゲームかもしれない。歴史が好き、歴史ゲームが好きな人には心からおすすめできる作品である。
どうかひとりでも多くの方に遊んでいただき、本作のような良質な歴史ゲームの理解者となってほしい。このレビューがその一助となれば幸いである。

追記: 私家日本語版が仮完成しました。詳細はこちらのページ[invalid-gamer.blogspot.jp]をご参照ください。
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2 Komentar
Mistle 2 Sep 2015 @ 3:56am 
コメントありがとうございます。歴史要素以外にもストラテジーとしてゲームバランス自体がよくできていて楽しめますので気が向いたらぜひ:friendship:
rokumiya 1 Sep 2015 @ 8:22am 
私は歴史に詳しくないため、購入するかどうかはまだ決めていませんが、貴方がどこに衝撃を受けたのかとてもよく伝わってくる良いレビューでした。良いレビューを読めたこと自体にお礼を言いたく成りました。ありがとうございます。