宇宙空間にある住居を清掃して使えるようにするのが目的の見下ろし型アクションゲーム。

マルチは４人まで。オンラインもRemotePlayTogetherもある。シングルでも遊べる。
マルチシングルともにやったが面白い。おすすめ。

日本語の翻訳は素晴らしい。
コントローラーがあるといいがキーボードでも。



排除する対象のエイリアンはモップで叩けば倒せる弱い存在だが、排除は全く簡単ではない。彼らの通り道には線状に汚れが残る。プレイヤーがそれを触ると汚れ状態となり、放置すると行動不能になってしまう。
さらに、時折卵を産み落として増殖したり、締め切った扉をじわじわと浸透して卵を送り込んで来たりする。いかに素早く確実に根絶するかが勝負どころ。

しかし、残念ながら序盤の殲滅力は高くない。卵を洗い流せるバケツや、体の汚れを落とすシャワー、照明を灯す電源などが必要で、それにはお金が必要だが序盤は全くたりない。
地道にエイリアンやゴミや野菜をシュレッダーにかけると少しづつお金が貯まる。この辺のお金によるアップグレード速度の制御は非常にうまく作られていると思う。ランダム要素はあっても大味な展開にはならないような工夫だ。


プレイヤーには空腹と睡眠のゲージがあり、これを解消せずに放置していると動けなくなってしまう。
解消するための食料と寝床も自分で用意する必要があり、エイリアンの排除とのバランスを見て必要な設備を配置していく。

中にはこういった要素を好まない人もいるだろう。
嫌いではない人間の感想としては、複数の情報をまんべんなく把握してマルチタスクかつ優先順位判断的なプレイをする感覚が面白かった。一つの作業をやりながら次に何をするか考えるような思考が得意な人ならなおさらおすすめできる。

モップを激しく動かしているときは早く睡眠ゲージが溜まったような気がする。なかなか細かい。


このゲームの展開には起伏があり、いい意味で一進一退の攻防が繰り広げられる。

終盤になると排除する方法が限定された敵が現れてくるので対応力が求められるし、敵がいるエリアとの接触箇所も増えてくるので守るのも難しくなる。
ちょっとした見落としや欲求管理ミスがきっかけとなって防衛線が崩壊することは珍しくない。

しかしこの時、リカバリーができるのもこのゲームの特徴だ。
設備を成長させていくゲームではあるが、一度停滞したら絶対に勝てなくなるわけではなく、少し撤退して仕切り直せば時間はかかるものの同じ状況に戻すことができる。
シングルで高めの難易度のマップをクリアしたときは３回ぐらい撤退を余儀なくされたが、バックアップ体制を見直すことで突破することができた。

このゲームの展開はウェーブ制のように恣意的なイベントの挿入で引き起こされているわけではない。エイリアンの繁殖能力と、宇宙住居におけるエアロック構造特有の防衛のしやすさとのせめぎあいによって自然と発生してくるのは驚くべきことだろう。
知らぬ間にダクトから侵入したエイリアンが増殖して背後を取られるのはSFホラーみを感じる。


このゲームは戦略ゲームだ。戦略協力型マルチプレイヤーゲームと書いてあるし、ストラテジーのタグもある。ランダム要素が少しあるが、逆にローグライクとは書かれていない。

業務系見下ろし協力アクションというくくりであればOvercookやMovingOut等があるが、これらには意思疎通や効率化はあってもストラテジーとまでは行かないだろう。PlateUp!なら動線の確保の要素があるが、このゲームには動線だけでなく戦線を維持する要素がある。

効率化だけなら戦線の押し上げに応じてバックアップも押し上げればいいが、万が一戦線が突破された際に重要設備が取り込まれると反撃の手段がなくなってしまうこともある。安全と効率のバランスを取っていく。

設備の設置は非常にフレキシブルで、一度設置したものもノーコストで位置を変えることができる。要らない設備をシュレッダーにかけてお金を回収することもできる。
マルチの協力アクションで協調しながら戦略的な意識を持つのは新鮮な感覚で、もしかしたらマルチTD系に近いのかもしれない。扉を開ける際にスタンバイするところはEndless Dungeonにも似ている。
　

４人のマルチで何度かクリアした後に、シングルでもやってみたがどちらも絶妙な難易度だった。
人数が増えたからと言って敵が極端に増えたようにも見えなかったのが不思議だが、わからないレベルで襲撃頻度などが変わっていたのかも。

シングルの方は全体を一人でカバーするのが大変だが、エイリアンを攻撃してくれるペットが用意されていて人数の少なさを緩和してくれる。


こういった協力ゲーでは定番だが、プレイヤー間の関わりもいろいろとある。バケツで水をぶっかけて仲間の汚れを落としたり、一つしかないソファーで順番待ちしたり、行動不能になった仲間をシュレッダーにかけてリスポーンさせたり。
ドアを開けるアクションが少し隙を生むようになっているので、ドアを開ける役割と突入する役割が自然と分かれるようになっているのも良くできている。

空腹になっているのに気づいていないプレイヤーに無理やり食料をもたせることもできるのはいいなと思った。


さんざん戦線などと書いてきたが、実はやっていることはただの新居への家具搬入だ。ちょっと掃除と害虫駆除をしているだけ。

設備も全て住居用のもので、タレットのようなものはない。
一般家庭にありそうな器具を使って食欲を満たしたり、休憩したり、お金を稼いだりする。たまにエイリアンに使えることもある。
エイリアンへの攻撃もモップによる掃除とバケツで水をぶっかけるだけだ。スプレーはあるが殺虫ではなく虫よけもしくは汚れよけ。
やっていることは日常に徹しているので、エイリアンをうまく隔離しているとただのライフシミュレータにも見える雰囲気が良い。

ソファでくつろぐ姿なども非常にリラックスしている。横にテレビを置くこともできる。ピザを注文してもいい。
仲間が次の部屋へ突入しようとしているときに、一人でベッドで無駄にくつろいでツッコミ待ちをすることもできる。



良かった点ですでに挙げたが、このゲームでは一進一退の攻防が繰り広げられることがある。
そしてタイムオーバーがないので、うまく戦略の改善ができなければエンドレスに戦う事になりかねない。全員が行動不能になればゲームオーバーになるが、わざとでなければなかなか起きないバランスだ。

最初に４人マルチをやったときはイタチごっこが始まったあたりで、このゲームやばいのではという空気になった。1､2回やれば慣れてくるので打開しやすくなるが、変にはまってしまっているときは一度やり直す勇気が必要かもしれない。ランダム性により難易度も少し変わる。
マルチでのクリア時間は簡単な設定なら２０分程度だが、初プレイだったり難しい設定の場合は１時間超えだった。事前に意識を合わせておく必要があるだろう。
シングルでも簡単で２０分、難しいものは９０分かかった。


再現回数は少ないが、募集したロビーにうまく接続できない時があった。
色々やっていると接続できるようになり、その後は安定していたので「悪い」というほどではない、が少し不安。
ゲームを再起動したりホストを変えるのは効果があるかもしれない。ただし、用意されたサーバーに接続しているのでホスト？プレイヤーに意味があるのかはわからない。鍵のアイコンがついているプレイヤーが一人いるのだが、ゲームルールの設定権があるだけなのかも。
北海道のフレンドがホストだったときにロシアサーバーに接続していた事があったのでそれが原因だったのだろうか…

あと、フレンドのロビーへ入る際にフレンドリストの「ゲームに参加」は出てこないようだ。
ゲーム内で招待を送るのが確実だった。


マッチングは期待できない。
Steamのプレイヤーは１００人ぐらいいるみたいだが、日本にはいないだろう。クロスプラットフォームではあるが、日本向けには展開していないような雰囲気だった。

ただこれに関しては、最近はフレンドだけで遊んだりゲーム実況放送で人を募るのが主要なターゲット層の遊び方になっていると考えるべきだと思う。
個人的には野良で遊べるゲームは好きだが、これだけ山ほどあるマルチゲー全部に野良人口があってほしいというのは無理な話だ。セール時は400円ぐらいになるので布教してみるのもいいし、RemotePlayTogetherでもいい。


使用するボタンが限られているので、意図していなかった別のアクションが発動してしまうことがわりとある。近くにあるものを拾おうとして、別の近くにあるものを拾うことも多い。

シンプルなのはわかりやすくていいが、取り違えが多くそうも言ってられないレベルだ。

よく見てみると拾おうとしている物体が少し光っているのだが、急いでいるときには見えていないだろう。
あたふたするところも含めて演出と捉えるのは甘すぎるだろうか。