クアルコムが先月発表した最新ハイエンド向けチップ、Snapdragon 8 Gen1。
国内でのリリースが期待されているXperia 1 IV (仮称)やGalaxy S22シリーズ、AQUOS R7といったモデルに搭載されることはほぼ間違いないでしょう。
一方、このSnapdragon 8 Gen1については以前より発熱やバッテリー消費の多さなどが懸念されており、一部では昨年のSnapdragon 888以上の発熱問題を抱えているという声も聞こえてきます。
そんな中、この最新チップの電力効率、いわば「燃費」について興味深い報告がみつかりました。
Snapdragon 8 Gen1は「小コアの電力効率がSD888から大幅悪化
Snapdragon 8 Gen1もSnapdragon 888も(というか大半のスマホ用チップは)ビッグコア、ミドルコア、スモールコアという3種類のコアで成り立っており、高負荷の動作は電力消費量の多いビッグコア、低負荷の動作は高効率のスモールコアが担う、という仕組みになっています。
そしてSnapdragon 8 Gen1のコア構成は:
1x 3 GHz – Cortex-X2
3x 2.5 GHz – Cortex-A710
4x 1.8 GHz – Cortex-A510
一方、Snapdragon 888のコア構成は:
1x 2.995 GHz – Cortex-X1
3x 2.42 GHz – Cortex-A78
4x 1.8 GHz – Cortex-A55)
そして今回の報告によると:
Snapdragon 8 Gen1のスモールコア「A510」は性能ではSnapdragon 888のスモールコア「A55」を上回っていますが、電力消費量が69%多く、電力効率という点では33%も劣っているという結果に。
この「スモールコア」はスリープ時などはもちろん、動画閲覧やブラウジング、メッセージアプリの使用時など、リソースをあまり使わない低負荷な動作の時にメインで動くコア。
使い方にもよりますが「日常使い」が中心のユーザーにとってはかなり体感で電池持ちに差が出る可能性がありそうです。
一方、同じ人物からの報告として、Snapdragon 8 Gen1のミドルコア「Cortex-A710」はSD888の「Cortex-A78」と比較してほぼ同性能で電力効率にも大きな差はなし、といったとことろ。
「ビッグコア」でも電力効率はSD888以下
そして高負荷の動作を司るビッグコア「Coretex-X2」ですが、こちらはスモールコアほどではないものの、やはり電力効率で2割近くSD888よりも悪い、という結果に。
でもGPUの燃費は相当優秀
これまで良いとこ無しのSnapdragon 8 Gen1ですが、SoCのもう一つな重要な部分、GPUの性能となると形勢逆転:
Snapdragon 8 Gen1の性能はSnapdragon 888の1.5倍、さらに電力効率も44%良い、という結果が出ています。
ちなみにGPU性能が重要になるのは3Dゲームプレイ時など、いわゆる高負荷動作の時で、GPU単体とは言え、その際の電力消費量が4割も少ないというのは全体のバッテリー効率にも大きな影響を与えることが予想されます。
これ、車の燃費に例えると、Snapdragon 8 Gen1は「高速燃費」では前「エンジン」であるSD888よりも燃費が向上しているものの、低速走行が基本の日常使いの「街乗り燃費」では大きく低下している、ということになりそう。
よって、普段はあまりゲームなどをしないユーザーにとってこのSnapdragon 8 Gen1搭載モデルはSD888と比較してバッテリー持ちが悪いと感じる可能性も。
一方で、ゲーマーなどヘビーユーザーにとっては逆にバッテリー持ちが向上した、と感じる可能性もありそうです。
ソース:Twitter
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