
Touch ID搭載Magic Keyboard
Touch ID搭載Magic Keyboard(およびテンキー付きTouch ID搭載Magic Keyboard)は、すべてのAppleシリコン搭載Macで使用できる外部キーボードにTouch IDセンサーを備えたものです。Touch ID搭載Magic Keyboardは生体認証センサーの役割を果たします。生体認証テンプレートの保存、生体認証の照合、セキュリティポリシー(ロックを解除せずに48時間経過するとパスワードの入力が必要になるなど)の適用は行いません。Touch ID搭載Magic KeyboardのTouch IDセンサーを使用するには、MacのSecure Enclaveと安全にペアリングする必要があります。その後、内蔵Touch IDセンサーの場合と同様に、Secure Enclaveが登録と照合を行い、セキュリティポリシーを適用します。Macに同梱のTouch ID搭載Magic Keyboardの場合は、Appleが工場でペアリングプロセスを実行します。必要に応じて、ユーザがペアリングを行うこともできます。Touch ID搭載Magic Keyboardは一度に1台のMacとのみ安全にペアリングできますが、Macは最大5台の異なるTouch ID搭載Magic Keyboardと安全なペアリングを維持できます。
Touch ID搭載Magic Keyboardは内蔵Touch IDセンサーと互換性があります。Macの内蔵Touch IDセンサーで登録した指がTouch ID搭載Magic Keyboardで提示された場合、MacのSecure Enclaveが照合を正常に処理できます。逆の場合も同様です。
MacのSecure EnclaveとTouch ID搭載Magic Keyboardの安全なペアリングとその後の通信をサポートするため、このキーボードは証明のための公開鍵アクセラレータ(PKA)ブロックと、必要な暗号化プロセスを実行するためのハードウェアベースの鍵を備えています。
安全なペアリング
Touch ID搭載Magic KeyboardをTouch ID操作に使用するには、キーボードをMacに安全にペアリングする必要があります。ペアリングのために、MacのSecure EnclaveとTouch ID搭載Magic KeyboardのPKAブロックが、Appleの信頼できるCAをルートとする公開鍵を交換し、ハードウェアに保持されている証明鍵と一時的なECDHを使用して自らの識別情報を証明します。このデータは、MacではSecure Enclave、Touch ID搭載Magic KeyboardではPKAブロックによって保護されます。安全にペアリングしたあとは、MacとTouch ID搭載Magic Keyboardの間で通信されるすべてのTouch IDデータが、保存されている識別情報に基づくNIST P-256曲線を用いた一時ECDH鍵を使用して、鍵長256ビットのAES-GCMによって暗号化されます。ワイヤレスモードでのキーボードの使用について詳しくは、Bluetoothのセキュリティを参照してください。
ペアリングのセキュアインテント
新しい指紋の登録などの一部のTouch ID操作を初めて行うときは、ユーザがTouch ID搭載Magic KeyboardをMacと一緒に使用する意図を物理的に確認する必要があります。物理的な意図の確認は、ユーザインターフェイスによって指示されたときにMacの電源ボタンを2回押す操作、または以前にMacに登録した指紋との一致によって行われます。詳しくは、セキュアインテントとSecure Enclaveへの接続を参照してください。
Apple Payのトランザクションは、Touch IDでの一致、またはmacOSのユーザパスワードを入力してTouch ID搭載Magic KeyboardのTouch IDボタンを2回押す操作で承認できます。後者の場合は、ユーザがTouch IDでの照合を行わなくても物理的に意図を確認できます。
Touch ID搭載Magic Keyboardのチャネルのセキュリティ
Touch ID搭載Magic KeyboardのTouch IDセンサーと、ペアリングされているMacのSecure Enclaveの間に安全な通信チャネルを確保するには、以下のものが必要です:
上述のように、Touch ID搭載Magic KeyboardのPKAブロックとSecure Enclaveの安全なペアリング
Touch IDセンサーを搭載したMagic KeyboardとそのPKAブロックの間の安全なチャネル
Touch IDセンサーを搭載したMagic KeyboardとそのPKAブロックの間の安全なチャネルは、両者で共有される一意の鍵を使用して工場で確立されます。(これは、Touch ID内蔵のMacコンピュータでMacのSecure Enclaveと内蔵センサーの間に安全なチャネルを作成するために使用されるものと同じテクニックです。)