ジャニーさんといえば一昔前キンキキッズのほんわかしたほうが「YOU〇〇しちゃいなYO」という口真似をして、それが流行ったのが記憶に残っているが、恐らく晩年はさすがのジャニーさんも性欲が衰えたと見えて、そういう風にイジっても周りがそれほど引かない程度には落ち着いていたんだろうと思うが、それにしても興ざめな話だった。

 僕は正直に言って、ジャニーさんがどこまでタチの悪いゲイなのか知らなかった。むろんそういうネタがときどき週刊誌の紙面を踊っていたことは承知していたが、実際、その辺のKY社長程度にはセクハラをして、それに尾ひれがついて話が大きくなってるだけかもしれない、という、その程度の認識だったが(あの黒柳徹子と、仲が良かったともいうし、そう悪い人ではないんだろうと。ほんと徹子オイオイって感じ)、今になってみると、ジャニーさんは冗談では済まない性欲怪獣だったことが明らかになった。早くに告発の映画を撮影して公開していた村西とおる監督はまったく正しかった。だれがインチキでだれがガチなのか、ほんとうに分からないものだ。

 ジャニーさんは合宿と称してデビュー前の未成年を集めて事実上、同衾を強要していたというのだから恐ろしい。ただジャニーさんを正当化する訳ではないが、そんな風にしてプライドをへしおられ屈服させられた青年は、一種の影を帯び、それが世の女性の目にはジャニーズ事務所に特有の独特の魅力として映っていた面もあるのかもしれない。またジャニーさん自身、芸能事務所の社長として、事務所を運営する力も、才能あるアイドルを見抜く目も、また各方面に忖度を強いる才能も、とびぬけていたのは確かだと思う。

 利休が茶器に生命を吹き込んだように、ジャニーさんはアイドルの卵にタレントを吹き込んだ、と言えなくもないのではないか。もっと俗な言い方をするならば、ケツの穴を貸せばトップアイドルにしてやるぜ、みたいな、漫画のごとき究極の選択の現実が、実際にあったのだと推測される。

 はっきり言わせてもらうが、被害者諸氏には、こういうジャニーさんの圧迫を蹴ってケツの穴を守り、事務所を退社して、アイドルを目指すにせよ目指さないにせよ、胸を張って生きる道もあったはずだ。かれらはそれを選ばなかった人たちである。むろんこの問題は法的には100対0でジャニーさんが悪い。それを知ってて隠蔽するどころかジャニーさんに加担してきた(であろう)事務所も徹頭徹尾悪い。未成年が堂々、ジャニーを拒否するのは困難だったかもしれない。が、アイドルになりたいという被害者自身の欲がジャニーさんを逆らい難い存在にしていた面も否定できないだろう。それでジャニーさんも勘違いしてしまったのだと思う。僕は事務所の子たちに慕われている。かれらは進んでぼくにケツの穴をささげてくれたのだと。強い欲望によって認知が歪むのはなにもジャニーさんだけのことではない。

 さらに言えばジャニーさん自身、幼少期に、彼がアイドルの卵たちにしたようなことを強要されていた可能性もある。とすれば、姉のメリー喜多川氏はそんな弟をどのような思いで見ていたのか。いずれにしても、哀れで滑稽な姉弟だと思う。

 しかし僕自身は、そんなことはどうでもいい。腹が立つのはTOKIOとSMAPとくに城島と木村のことだ。

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 SMAPは自分たちを長年支えてきた女性マネージャーが独立することになり、一緒に独立するかもしれないという話が持ち上がったことがあった。何年前だったか。しかしこれは結局事務所の圧で実現せず、女性マネージャーだけが退社することになった。背景は見え透いている。恐らくこの女性マネージャーはSMAPをジャニー喜多川の魔の手から守ろうと尽力してくれたのだろう。ところが事務所から、マネージャーの独立についていけばマネージャーごと徹底的に潰すと脅されて、SMAPは躊躇した。このとき内部で意見が割れ、それがのちの解散に繋がったに違いないと思う。構図は明らかに、事務所側につく木村と、ほかの四人(あるいは中居が調整役)、というものであったろう。

 ジャニーズ事務所が芸能事務所として栄華を極めたことはそれ自体実力の結果なのだから構わないと思うが、事務所は市場を独占するために明らかに強い立場を利用してきた。それでジャニーズ事務所以外からは男性アイドルグループがほとんど出てこないという状況が続いた。こういう状態は健全とはいえない。そういうことを「忖度を強いる」かたちでやってきた事務所に加担していたのが木村である。見た目はカッコいいが中身はただのカスではないか。彼は、なにかというと、ちょ、まてよ、というが、おまえこそ、ちょ、まてよ、だ。

 しかし、それに輪をかけて腹が立つのはTOKIOである。

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 TOKIOは以前から好きで、鉄腕ダッシュなどは欠かさず見ていた。それが山口達也さんが不祥事を起こして脱退ということになったが、このとき城島・松岡・国分の三人は舌鋒するどく山口さんを批判していたが、今になってみれば山口さんとジャニー喜多川では悪質さにおいて桁がふたつみっつ違っていた。三人は、そのジャニー喜多川にはダンマリで山口さんを徹底的に批判していたのだ。その矛盾に嫌気がさしてか、長瀬さんは脱退した。かれはジャニーが死んだときに、地獄行きだろうとはっきりコメントしていた。そこに拭い難い本音が出ていたのだ。

 今つらつら思い出すと、怒りをにじませて山口さんを批判する城島の白々しいことったらない。やつの写真を段ボールに貼ってグーで殴ってぶちぬきたいくらい腹が立つ。TOKIOはもうちょっと純朴で男気のあるグループだと思っていた。そう信じて毎週見ていた。悲しくて仕方ない。裏切られた気持ちでいっぱいだ。身内や仲間にはだれも見ていないところで言うべきことを言い、人のまえではどこまでも擁護する、というのが男の作法だと思っている。その逆をやっていたのが城島・松岡・国分の三人だ。

 ばかばかしいというか、なんというか。でもまあ、世の中ってそういうもんですよね。長いものにはッ! 巻かれろッ!
 

Extreme - Run



 事務所の名称を残すか変えるか。街頭インタビューで、「ジャニーズの名前から元気をもらったのでジャニーズの名前を残すのはアリ」と答えるジャニヲタのおねいさん。こういう女性が多いうちは大臣・副大臣・政務官や企業の役員などの数が男女で平等になるということは永遠にないと思います。アホか。ジャニーは犯罪者やで。その名前のもとに自尊心を破壊された男の子がくさるほどおるんやで。社会的な意味もデカい。それとも、おまえがもらった元気のほうが重要だってのか。おまえの元気のために美少年はジャニーにケツほられてればいい、とでもいうのか。……あっ、そう。じゃあ仕方ない。