今回はPayoh SoulRebelのアルバム

payoh_soulrebel_01a

「Digital Churround」です。

Payoh SoulRebel(本名:Sergio León)
はスペインのマドリード出身のレゲエ・
シンガーであり、プロデューサーでもある
人です。

ネットのDiscogsを見る限りでは2010年
代後半ぐらいから活躍しているシンガーの
ようです。

ネットのDiscogsによると、共演盤を含め
て4枚ぐらいのアルバムと、23枚ぐらい
のシングル盤をリリースしています。
(Discogsを見ると19年にAles Cesarini
Feat. Payoh Soul Rebelの共演盤
「Dandelion」がLPとCDで別々に記載
されており、それを1枚と考えると3枚の
アルバムという事になりますが、調べて
みると2021年に「Digital Churround
Vol 2. Churrevelation」というデータで
リリースされたと思われるDiscogsに記載
されていないアルバムが見つかりました。
なのでここではアルバムのリリースは4枚
とします。)

Biography: Payoh SoulRebel

今回のアルバムは2020年にスペインの
Newentun Resistanceというレーベルから
リリースされた彼のソロ・アルバムです。

Side 1がPayoh SoulRebelの歌、Side 2が
そのダブという構成のアルバムで、ノリの
良いデジタルサウンドにSide 1がPayoh
SoulRebelのスペイン語と英語で歌う、
ちょっとラフなヴォーカルが魅力的な
アルバムに仕上がっています。

手に入れたのはNewentun Resistanceから
リリースされたLP(新盤)でした。

Side 1が5曲、Side 2が5曲の全10曲。
Side 1がPayoh SoulRebelの歌、Side 2が
その順番でのダブという構成になっていま
す。

なおネットのDiscogsには記録がありま
せんが、この続編のアルバム「Digital
Churround Vol 2. Churrevelation」が
2021年にデジタル・リリースされて
いるようです。

ミュージシャンについては以下の記述が
あります。

Composed & Produced by Payoh SoulRebel at Millenial Broken Dreams Studio.
Co-Produced, Mixed & Mastering by Mario Garcia at Legalize Sound Studios Outta Cool Up Records
(El Coronil, Seuilla) Dubs by Mario Garcia.
Lyrics by Payoh SoulRebel.
Art Work by Black Sun Design
Layout by Nacho Fito.

となっています。

作曲とプロデュースはMillenial Broken
Dreams StudioのPayoh SoulRebelで、共同
プロデュースとミックス、マスタリング、
ダブ・ミックスはLegalize Sound Studios
Outta Cool Up RecordsのMario Garciaが
担当しています。
作詞はPayoh SoulRebelが担当しています。

アート・ワークはBlack Sun Design、
レイアウトはNacho Fitoとなっています。
まるでサーフボードのようにキーボードを
抱えたPayoh SoulRebelの写真風のイラスト
と、デジタル感のある文字とバックと
いう、いかにもデジタル・サウンドを連想
させるジャケットです。

payoh_soulrebel_02a
裏ジャケ

さて今回のアルバムですが、80年半ばに
起きたデジタルのダンスホール・レゲエの
ようなデジタル・サウンドに、Payoh
SoulRebelのラフでスピード感がある
スペイン語と英語を交えたヴォーカルが
冴えるアルバムで、内容はなかなか良いと
思います。

このPayoh SoulRebelですがYouTubeに
アップされた彼の動画を観ると、荒廃した
スペインと思われる街中に暮らすアル中や
不穏な人々、売春婦と思われる女性などが
登場する「Crazy World」や、マカロニ・
ウエスタン風の西部劇の「Lone Ranger」
など、曲ごとに多彩な個性を見せていま
す。

Crazy World - Payoh SoulRebel


PAYOH SOULREBEL - LONE RANGER [Official Video] (Cool Up Records)


特に「Crazy World」は登場人物の生々し
さがリアルに胸を突き刺すような出来で、
これを見て私はこの人にすごく興味を抱き
ました。
社会問題にダイレクトに切り込んで来る、
こういうアプローチはレゲエならではの
魅力があります。
こうした強烈な個性がなかなか魅力的な人
なんですね。

今回のアルバムではまた違うアプローチを
していて、タイトル通りに80年半ばに
ジャマイカで起きたデジタルのダンス
ホール・レゲエを彷彿とさせるような
デジタル・サウンドを展開していて、ノリ
の良いキーボード・サウンドがとても
気持ちの良いアルバムに仕上がっていま
す。

また歌とダブの両方がある場合は、普通は
その2つを交互に入れた、いわゆるショー
ケース・スタイルにするのが一般的なの
ですが、今回のアルバムでは歌をSide 1、
ダブをSide 2と両面に割り振っています。
そうする事で歌とダブのミニ・アルバム
2枚のような感じにしているんですね。
そこもちょっと面白いところではあり
ます。

ここのところ近年のヨーロッパのレゲエを
よく聴いていますが、こうした音楽には
ジャマイカ以上にあの80年代半ばの
デジタル・ダンスホールの影響が色濃く
残っています。
ひとつには当時のカシオのキーボードなど
が使い勝手が良い事もあるのでしょうが、
流れるようなキーボードのメロディが現代
になっても色褪せない、軽く軽快な不思議
な魅力があるんですね。
ある意味レゲエという音楽を、本場以上に
よく理解しているのかもしれません。

そういえばSoulRebelという名前、やはり
あのThe Wailersの「Soul Rebel」から
付けた名前なんですかね?
だとするとかなり彼の考え方が解る気が
しますね。
ちょっと気になります。

Side 1はすべてPayoh SoulRebelの歌の曲が
収められています。

Side 1の1曲目は「Crecí En Un Barrio」
です。
畳み掛けるようなデジタルのドラミング
に、味わいのあるキーボードのメロディ、
スペイン語で歌うちょっと巻き舌の入った
Payoh SoulRebelのヴォーカルがイイ感じ。

Payoh SoulRebel-Creci en un barrio-Digital Churround


2曲目は「Diehard」です。
歯切れの良いデジタルのドラミングに、
漂うようなキーボードとリズミカルな
キーボードのメロディ、一瞬「アウト・
オブ・キー?」と思うような歌の出だし
から、高音を活かしたPayoh SoulRebel
のヴォーカルがイイ感じ。

Payoh SoulRebel-Diehard-Digital Churround


3曲目は「More Than I Can Say」です。
勢いのあるデジタルなドラミングに、
ミディアムなデジタルのキーボードの
メロディ、伸びやかに歌うPayoh SoulRebel
のヴォーカルがイイ感じ。

Payoh SoulRebel-More than I can say-Digital Churround


4曲目は「Poser」です。
リズミカルなドラミングに、キーボードと
ピアノ音のメロディ、コーラスに乗せた
Payoh SoulRebelのスペイン語の語るよう
なヴォーカルがイイ感じ。

Payoh SoulRebel-Poser-Digital Churround


5曲目は「Saturday Night」です。
まるで拍手するようなリズミカルな
ドラミングに、漂うようなデジタルなキー
ボードのメロディ、伸びやかで表情豊かな
Payoh SoulRebelのヴォーカルがイイ感じ。

Payoh SoulRebel-Saturday Night-Digital Churround


Side 2はSide 1の曲のダブが同じ順番で
収められています。

Side 2の1曲目は「Crecí En Un Dub」
です。
Side 1の1曲目「Crecí En Un Barrio」
のダブ・ヴァージョンです。
リズミカルなドラミングに、Payoh
SoulRebelのダブワイズして行く
ヴォーカル、表情豊かなドスの効いた
キーボード…。

Crecí en un Dub (Dub)


2曲目は「DubHard」です。
Side 1の2曲目「Diehard」のダブ・
ヴァージョンです。
リズミカルなデジタルのドラミング、
メロディアスなキーボード、ダブワイズ
して滲んで行くPayoh SoulRebelの
ヴォーカル。

DubHard


3曲目は「More Than I Can Dub」です。
Side 1の3曲目「More Than I Can Say」
のダブ・ヴァージョンです。
リズミカルなデジタルのドラミングに、
ちょっと不穏なキーボードのメロディ、
滲んで行くPayoh SoulRebelのヴォーカル…。

More Than I Can Dub (Dub)


4曲目は「Poser Dub」です。
Side 1の4曲目「Poser」のダブ・
ヴァージョンです。
勢いのあるドラミングから、ちょっと味の
あるキーボードとピアノ音のメロディ、
滲んで行くPayoh SoulRebelのヴォーカル
がイイ感じ。

Poser Dub (Dub)


5曲目は「SaturDub Night」です。
Side 1の5曲目「Saturday Night」の
ダブ・ヴァージョンです。
デジタルなドラミングから、漂うような
キーボードのメロディ、伸びやかな
Payoh SoulRebelのヴォーカル…。

SaturDub Night


ざっと追いかけて来ましたが、80年代
から蘇ったようなデジタル・サウンドが
けっこう楽しく聴けてしまうアルバムで、
内容は悪くないと思います。

書いたようにその後21年に第2集の
「Digital Churround Vol 2.
Churrevelation」がデジタル・リリース
されているので、人気のシリーズという事
なのでしょう。

機会があればぜひ聴いてみてください。


Fonki Cheff & Payoh Soul Rebel (Mc & Dj live freestyle)


Payoh Soul Rebel con la Red Gold & Green. "Positive Vibration" de Bob Marley


○アーティスト: Payoh SoulRebel
○アルバム: Digital Churround
○レーベル: Newentun Resistance
○フォーマット: LP
○オリジナル・アルバム制作年: 2020

○「Digital Churround」曲目
Side 1
1. Crecí En Un Barrio
2. Diehard
3. More Than I Can Say
4. Poser
5. Saturday Night
Side 2
1. Crecí En Un Dub
2. DubHard
3. More Than I Can Dub
4. Poser Dub
5. SaturDub Night