邑久光明園 鹿島太郎さん(3)
邑久光明園(岡山県)癩者
暁の島を
白いベールが幾重にも覆っている
一条の光りが
暗雲を斜に射し照らす頃は
もうすっかりベールをぬいでいた
親を捨て去り
妻子を捨て去り
兄弟姉妹を捨て去り
この島の周囲には涙の海が浪音をたてている
貴方達には絶対に見られたくない部落
癩者の部落の中心の治療場
そこに通う雑踏を
杖をひきながら行く盲
太き嘆息をはきつつ
操り人形そっくりに歩いて行く姿を
私は彼等と共にささやかな望みが
思われてならない
ああ神様は我等の為に嘆いているだろうか
癩者の眼は空洞のように
永遠の闇がひそんでいる
それでも ときどき
はげしい光が点滅するのだ
この癩者にも静かな祈りがある
幼子のように神々しく笑うこともある
癩者の園が
神のパラダイスとひとしいと云うことは
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