邑久光明園  鹿島太郎さん(3)

邑久光明園(岡山県)
09 /13 2024

癩者



暁の島を

白いベールが幾重にも覆っている


一条の光りが

暗雲を斜に射し照らす頃は

もうすっかりベールをぬいでいた


親を捨て去り

妻子を捨て去り

兄弟姉妹を捨て去り

この島の周囲には涙の海が浪音をたてている


貴方達には絶対に見られたくない部落

癩者の部落の中心の治療場

そこに通う雑踏を

杖をひきながら行く盲

太き嘆息をはきつつ

操り人形そっくりに歩いて行く姿を

私は彼等と共にささやかな望みが

思われてならない


ああ神様は我等の為に嘆いているだろうか

癩者の眼は空洞のように

永遠の闇がひそんでいる

それでも ときどき

はげしい光が点滅するのだ


この癩者にも静かな祈りがある

幼子のように神々しく笑うこともある

癩者の園が

神のパラダイスとひとしいと云うことは

何と云うよろこびだ 

 

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あめんぼ通信

水田 祐助 岡山県瀬戸内市。36才で脱サラ、現在71才、農業歴35年目。農業形態はセット野菜の宅配。人員1人、規模4反。少量多品目生産、他にニワトリ20羽。子供の頃、家は葉タバコ農家であり、脱サラ後の3年間は父が健在だった。

yuusuke325@mx91.tiki.ne.jp

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