「羽田空港アクセス線」空港内区間で着工 羽田空港新駅ホームなどができる鉄道トンネル躯体等基盤施設の整備から
国土交通省関東地方整備局から、JR田町駅付近と羽田空港を結ぶ「羽田空港アクセス線(仮称)」のうち羽田空港島部分における工事に、12月7日に着手したことが発表されました。
空港島内は、駅のホーム部などができる鉄道トンネル躯体等基盤施設の整備から
このJRの羽田空港アクセス線(仮称)は、JR東日本が2023年に工事施行認可等を国土交通省より受けたことにより2023年6月に起工式を行い既に工事に着手していますが、そのうちの空港島内のシールドトンネルと開削トンネルに関しては国土交通省が空港整備事業として整備することになっています。
国土交通省が担当する空港島内区間の工事着工となる今回は、鉄道トンネル躯体等基盤施設の整備を開始します。工事箇所は羽田空港内の第2ターミナルに隣接する羽田空港第3駐車場(P3駐車場)の前面部の道路直下になり、約250mという長さの区間に、新駅のホーム部分などになる、高さ19mのトンネル躯体を開削工法により構築するというものになります。工事後に完成する「羽田空港新駅」のホームは、地下1階部分に整備され、15両編成に対応する1面2線の島式のホームとなる予定です。
今回の工事区間について関東地方整備局は「当該工事は、道路の通行等を確保しつつ、近接構造物に影響を与えないように施工する必要があるなど、技術的難易度が高いことから、工事の発注にあたっては、設計段階から施工者独自のノウハウを取り入れることができる ECI※方式を 関東地方整備局の港湾空港工事で初めて採用しました。」としています。今回は、2022年の公募型プロポーザルから技術協力業務で選定されていた清水建設が施工で工事に着手します。
(※ECI:アーリー・コントラクター・インボルブメントの略。ECI方式 [技術協力・施工タイプ] は、技術提案・交渉方式の1つであり、技術提案に基づき選定された優先交渉権者(施工者)と技術協力業務の契約を締結し、別の契約に基づき実施している設計に技術提案内容を反映させながら価格等の交渉を行い、交渉が成立した場合に工事の契約を締結をする方式です。)
羽田空港で鉄道工事、京急の駅引上線工事も進行中
羽田空港での鉄道関連の工事としては、2022年の8月8日に着工が発表されている、京浜急行の「羽田空港第1・第2ターミナル駅引上線」工事が引き続き行われています。京急で羽田空港駅に到着した電車が折り返すための施設で、完成すると品川駅の2面4線化と合わせ、輸送力が1時間あたり片道3本増が可能になるとされ、空港アクセスの利便性向上が図られることとなります。こちらは、2030年度の完成を予定しています。合わせて、現在の京急線のホームの上階部分での駅舎改築などの工事も予定されており、こちらもECI方式となり、着工準備中といった状況です。
JR空港アクセス線の空港内のシールドトンネル部分に関しては、今回の開削トンネル工事と同様にECI方式での工事となり、2022年11月に技術協力業務の共同企業体が選定され着工に向けての準備が進められています。いずれも、空港という場所で飛行機の運行を止めることなく工事をする必要があることから、様々な問題をクリアする必要がある難工事となります。引き続きその進行を注視していきたいと思います。
JR空港アクセス線の全体像と完成予定は?
JR東日本が計画していた羽田空港アクセス線の計画ルートには3ルートがあり、そのうち「東山手ルート」(田町駅付近⇔東京貨物ターミナル⇔羽田空港新駅)の鉄道施設変更認可と「アクセス新線」における工事施行認可を国土交通省より受け、2023年6月に起工式を行い本格的な工事に着手しています。
JR東日本の工区では、まずは浜松町駅と田町駅の間にある山手線引上げ線を撤去し、山手線外回りや京浜東北線南行、東海道線上りなどを順次移設するという手順で、現在休止中の大汐線と接続するための線路が敷設される手順で進んでいくことになっており、2031年度の新線の開業を目指すとしています。2023年11月中旬に複数メディアが報じたところでは、羽田アクセス線のルート上になる田町駅付近の線路地下から、明治時代初期の鉄道遺構「高輪築堤」とみられる石垣の一部が見つかったということで、JR東日本などが工期への影響を精査するとしていますので、その影響が少し気になるところです。
(鉄道チャンネル)
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