Studio Life×東映ビデオ 舞台プロジェクト第1弾 皆川博子作:「死の泉」2月27日より東京、大阪にて上演!

直木賞受賞作家・皆川博子の代表作、傑作ミステリー「死の泉」が2020年2月・3月、紀伊國屋ホール・近鉄 アート館にて再演決定!!原作は、その美しくも衝撃的なストーリーが話題となり第32回吉川英治文学賞、 「週刊文春ミステリー・ベスト10」第1位、「このミステリーがすごい!」第3位などを受賞した皆川博子の「死の泉」。
男優が女性役をも演じるという独特の手法をとり、耽美な世界観と、美しく繊細な舞台演出で確固たる人気を 誇る劇団スタジオライフが12年の時を経て、再び「死の泉」を手掛ける。
同作を1999年に初舞台化して以降、何度も再演を重ねてきたスタジオライフメンバーに加え、 さらに今回は馬場良馬、松村泰一郎、竹之内景樹、松村優、滝川広大、宮崎卓真ら、 多彩な若手俳優を迎え、新たな「死の泉」をお届けする。また、この作品はStudio Lifeと東映ビデオの共同プロジェクトとなっており、その第一回目である。

<「Studio Life×東映ビデオ 舞台プロジェクト」とは>
1985年に故河内喜一朗と倉田淳により結成し、数々の名作舞台を世に送り出し続けている劇団「Studio Life」。2020年35周年を迎
える劇団の舞台を「東映ビデオ」が共同プロデュースし、新たなコラボレーション作品を生み出すプロジェクト。「死の泉」は、この 新プロジェクト第1弾公演となります。

<「死の泉」を2020年に上演する企画意図>
レーベンス・ボルン(未婚のまま身籠った女達に安心して子供を産ませる目的でドイツで作られた組織。邦訳: 命の泉)、この「命の泉」から始まる『死の泉』の物語は、凄まじい勢いで登場人物達の人生を曳き込んでゆく。 第二次世界大戦の戦時下、それもナチスに支配された極限状況に端を発した物語は、影と光を編みながら複 雑な人間模様を織りなし、時代の流れの中で事実と真実、現実と幻が交錯し、あらゆる側面から彼等のレゾン・ デートルに踏み入ってゆくのだ。かつては神の声と崇められたカストラート、ナチズムの正義であった人体実験、 時が移り時代が代われば、信じられていた善は悪となり、曾ての栄華は闇に消える。そして歴史に残った事実 だけが記号のように羅列され、過去として重なってゆく。曖昧に移ろう人間の感情————その人間が位置付 ける善悪の価値観————人は生まれ、そして死に、時は激しく静かに流れてゆく———— 夢の中にしか現 実は存在しない・・・古の詩人ボードレールの言葉が、死の泉の湖底からゆらゆらと浮上してくるような感覚が する。
ボーイ・ソプラノの透明感、ツィゴイネルの哀愁、マルガレーテの孤独、クラウスの美と醜、
フランツの諦念と情熱、エーリヒの衝動、ミヒャエルの静逸、レナの儚さ・・・・ 溢れるリリシズムの根底に人間を 見つめる多角的な視点が据えられ、様々な価値観を問いかけてくる。云わば情緒と理性の二律背反が絶妙な バランスで配されている物語なのだ。
原作は文庫版で636頁に及ぶ大作だ。そして全体が登場人物の一人であるギュンター・フォン・フュルステンベ ルグの著書であり、それを野上晶という人が翻訳したという極めて複雑な多重構造になっている。この全部を 一夜の舞台に収めることは到底不可能だ。そこで舞台版としてはマルガレーテ、クラウス、フランツ、エーリヒ、 ミヒャエルによって成される疑似家族に焦点を絞った構成とした。ギュンターの子を身籠りながらナチスの医師 であるクラウスの妻となり、クラウスの美への執着から養子とされたポーランド人のフランツとエーリヒ、やがて 誕生するミヒャエル、幸福という言葉に縁遠く育った彼等が戦時下という特殊な状況の中で寄り添い形成され てゆく疑似家族———— 家族の形態を模索する意味においても2020年の現在、上演の意義があるのではないかと思っている。
脚本・演出/倉田淳

<「東映ビデオ」とは>
劇場用映画やテレビ映画をビデオテープ・レーザーディスク商品として企画・ 製作する会社として活動を始め、今ではオリジナルビデオの代名詞となったV シネマの製作、Vアニメの製作を開始しました。さらに劇場用映画の製作も行 い、映画『百円の恋』など世界で評価される作品を世に送り出しています。常 に業界をリードする製作能力を保ち、日本映画・洋画・アニメーション・テレビ シリーズ・東映Vオリジナルの他、ドキュメンタリー・ミュージック・スポーツと、 多岐のジャンルに渉るDVD・ブルーレイ等の製品を月50タイトルほど発表し続 けています。また、舞台やイベント等の事業へも新たに進出しました。

<「Studio Life」とは>
1985年結成。1987年から、男優が女性役をも演じるという手法をとり、現在は 男優40名、女性演出家・倉田淳1名のみで構成されている演劇集団。その耽 美な世界観と、演出家 倉田淳の独創的な脚色力と美しく繊細な舞台演出が 話題を呼び、20代~40代の女性を中心に圧倒的な支持を得ている。
〈代表作〉 「トーマの心臓」(原作:萩尾望都/脚本・演出:倉田淳)
「11人いる!」(原作:萩尾望都/脚本・演出:倉田淳)
「死の泉」(原作:皆川博子/脚本・演出:倉田淳)
「はみだしっ子」(原作:三原順/脚本・演出:倉田淳)
「TAMAGOYAKI」(作・演出:倉田淳)

<「死の泉」 -STORY->
私生児を身籠りナチの施設レーベンス・ボルンの産院に身を置くことになった マルガレーテは、不老不死を研究し芸術を偏愛する医師クラウスの求婚を承 諾する。
彼と二人の養子たち、そして生まれた子供とともに静かな家族生活を送って いたが、次第に激化する戦火の中、狂気を帯びてゆくクラウスの言動にマル ガレーテは恐怖を覚え始める。それはやがてやって来る悲劇への、ほんの序 章に過ぎなかった。
そして、ひとつの事件をきっかけに歯車は狂い始め、マルガレーテと彼女を取 り巻く人々を地獄へと誘ってゆく・・・・

[登場人物]
マルガレーテ
物語の発端となる人物。ギュンターの子を身籠りレーベンス・ボルンへやって来る。
クラウス・ヴェッセルマン
ナチスの医師。人体実験をする一方で芸術を偏愛している。
青年フランツ
心に闇を抱えながら、クラウスへの復讐を企てている。
少年フランツ
ポーランドから攫われてきた金髪碧眼の少年。エーリヒに請われ一緒にクラウスの養子となる。
青年エーリヒ
カストラートの歌声を持ち大道芸人として生計を立てている。
少年エーリヒ
ポーランドから攫われてきた美しい歌声を持つ少年。クラウスの手によりカストラートとなる手術を執刀される。
モニカ
クラウスの家に雇われた家政婦。マルガレーテを追い詰め苦しめる。
ギュンター
マルガレーテが身籠った子の父親。単なる遊びのつもりだったが、後に彼女を愛していたことに目覚める。
ミヒャエル
マルガレーテとギュンターの子ども。病弱。
ゲルト
レーベンス・ボルンの看護婦だったブリギッテとクラウスとの間に生まれた青年。父のことは知らない。ネオナチの組織に加わる。
ヘルムート
ネオナチのリーダー。ゲルトを愛している。

<キャスト>
出演 : 笠原浩夫・馬場良馬・松村泰一郎・竹之内景樹・松村 優・滝川広大・宮崎卓真・ 松本慎也・関戸博一・澤井俊輝・宇佐見輝・山本芳樹・曽世海司・ 船戸慎士・大沼亮吉・吉成奨人・伊藤清之・鈴木宏明・前木健太郎・ 富岡良太・倉本 徹・石飛幸治・藤原啓児 他

【「死の泉」-公演概要- 】
東京公演:紀伊國屋ホール
2020年2月27日(木)~3月8日(日) 全14ステージ
大阪公演:近鉄アート館 キャスト
2020年3月13日(金)~3月15日(日) 全4ステージ