ナチスのためにUFOを作った謎の発明家・シャウベルガーとは!? 「水と空からエネルギーを生み出す」天才が残した“渦エンジン”の秘密
自然の中に身を置いて、周囲のあれこれをじっくり観察すると、我々はいかに無駄なエネルギーを消費して事に当たっているのかと痛感させられるのかもしれない。かつて少年期にそのような日々を送っていたエンジニアが、再生可能エネルギーで飛行する人工的なUFOの製作を試みていたという。
■「自然を理解してコピーする」自然派エンジニア
川をスイスイ泳ぐ魚は決して競泳選手のように猛然と身体を動かして進んでいるわけではない。まるで川の流れから推進力を得ているかのように上流へ向かっていとも簡単に泳ぐ川魚を見れば、我々人間は何かにつけて余計なエネルギーを使っていることを思い知らされるというものだ。
このように自然のメカニズムを注意深く観察することで我々もまたエコで持続可能な自然のエネルギーを活用できると考えたエンジニアがかつて存在した。
ビクトル・シャウベルガー(1885〜1958)はオーストリアで生まれ、後にUFOを開発するエンジニアになるとは到底思えない背景を持つ異色の人物である。
オーバーエスターライヒ州ホルツシュラークの広大な原野に住み森林管理業を営む父の家族の一人として育った彼は、若い多感な時期をこの1万ヘクタール以上の広大な森の中で過ごし、豊かな自然の中で人生と哲学を大きく変えるような多くの自然観察に絶えず没頭していた。
特に水に魅了された彼は、その観察に熱中していた。シャウベルガーは水はそれ自体がひとつの生命体で、「地球の血液」であり、すべての生命の起源であると考えたのだ。特に渦巻き状の形態、渦、水路、流れ、渦潮(うずしお)、そして周囲の世界との調和など、水の多くの側面に観察の焦点を当てていた。
彼は水の動きと影響を熱心に研究し、画期的な新しいタイプの丸太の水路や独自の流体力学システムなど、多くの発明を行った。そしてガソリンエンジンのように爆発ではなく爆縮(implosion)によってパワーと推進力を得る革新的な新しいタイプのエンジンの設計に取り組む。
ちなみにシャウベルガーは完全に独学の人で、正式な大学教育を受けていないのだが、その斬新なアイデアや特許、発明のいくつかは国際的な称賛を集めることになった。
シャウベルガーは既存の技術の多くに批判的であり、それらは自然の法則に反して働き、破壊的であると考え、代わりに自然を利用するなどの代替エネルギーの活用を通じて人類と自然が共生することができるという考えを提唱している。
彼のモットーは「自然を理解してコピーする」であり、このプロセスを通じて自然と調和した生活を送ることにある。シャウベルガーにとって、人類の発明の多くは自然と対立しており、プロペラでさえ欠陥のある発明であると述べている。プロペラはブレーキスクリューを前方推進のために利用しているようなものだと指摘する言及が残されている。ヘリコプターのようなプロペラは自然に適った構造ではないというのだ。
■ナチスの下で“渦エンジン”の開発に取り組む
シャウベルガーは自分の考えを現実のものにするために、水の渦の互いの相互作用でますます大きな力を生み出し、それが重力に対抗する力、本質的に反重力を生み出すことができるという理論を思いついた。この反重力を彼は反磁性(dia-magnetism)と呼んだ。
彼はこれらの理論を使用して、水と空気からエネルギーを生み出すエンジンを開発した。これは文字通りの“クリーンエネルギー”であり、自然との共生という原則に基づいて機能し、汚染をほとんど発生させず、完全なる持続可能エネルギーであった。
そしてこのような“エコな”クリーンエネルギーの提唱者とナチスドイツの関係はまったくもって奇妙な組み合わせである。
1934年、シャウベルガーにナチスか最初の接触を図った。そして4年後の1938年、シャウベルガーはナチス党員ユリウス・シュトライヒャーから、浮揚し、正確な操縦を行うことができる円盤状の航空機に搭載する“渦エンジン”の開発に取り組むように命じられたといわれている。
優れた加速と高速飛行が可能なこの“渦エンジン”にナチスは興味を持ち、彼の理論を使って未来的な反重力航空機を作ることを思い描いたのだ。そしてシャウベルガーにはこの命令に背く選択肢はなく、多額の協力金を積まれて開発に着手することになったのだ。
開発を始めて2年後の1940年、彼は「リパルシンA(Repulsine A)」と呼ばれる、最初のプロトタイプを作成した。これは渦と周囲の空気の摩擦を利用して空気を下向きに放ち、全体的な揚力と推進力を発生させるものであり、一種の“竜巻発生装置”であった。
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