初めてKの個室を訪ねて面会をした。希望した保護者に日時限定で、ではあったが。
 事前の内覧では見せてもらったが入所後は初。預けた家財道具がどのように配置されているのか、どんなふうに過ごしているのか。興味津々の「お宅訪問」だ。

 部屋の構成はだいたい予想通り。アンパンマンのマグネットボードやトーマスの絵本、お気に入りグッズがきちんと並んでいる。多分今日はいつもより掃除に念を入れているのだろうが、日常的に分かりやすい構成にしてあるのはわかる。
 会って少ししたらベッドにごろり。自分の居場所としてリラックスしている様子は安心できる。

 まだ日中の集団余暇活動や作業には参加できていない、室内で落ち着いて過ごすことが多いとのことだが、学校や通所に慣れるまでのことを振り返るとまあ3年くらいかかるかな。想定内だ。

 私たちが室内に足を踏み入れて「元気?」と手を振ると、すぐにその手を取って歩き出しおもちゃ箱に持っていく。おもちゃのひとつを示し、何か伝えようとしている。
 お気に入りの音が出るおもちゃが最近壊れたらしい。職員さんによれば電池を替えてもダメで、多分いつもそれを握ったまま水道で水遊びをしているせいではないかとのことだった。

 ああ、そういえば家にいる頃もよくおもちゃの不具合を訴えて「なおせ」と工具箱の蓋を開けようとしたね。
 「新しいのを買ってあげるよ」と約束し、後日届けました。今度は濡らさないでね。

 保護者が帰る時刻になり、それぞれが名残惜し気にわが子に手を振る。利用者のひとりが自分のお母さんの後についてきて出口ドアの前で何度も握手し、笑顔で手を振っていた様子が忘れられません。