NHK大河ドラマ『どうする家康』第32話コラム
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筆者紹介
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今回は…前回に引き続き家康VS秀吉の直接対決「小牧長久手の戦い」が描かれました。
家康の人生を振り返ってみても、生涯でも最大級かつ最重要な勝利であった「長久手の戦い」。もしもここで秀吉軍を相手に強烈な勝利を治めていなければ…家康が天下を取ることはなかったかもしれません。
そして、この小牧長久手の戦いは、家康率いる徳川家にとっても重要な、世代交代のきっかけとなりました。
本多忠勝と榊原康政
「どうする家康」では、家康の懐刀として序盤から登場していた本多忠勝と榊原康政。彼らが、徳川家中の重臣として重きをなすきっかけとなったのが、この「小牧長久手の戦い」だったのです。
榊原康政は、この戦いの最中、秀吉を挑発する檄文を書くとともに、三河への中入りを企てた池田恒興や森長可らを討ち取るという殊勲をあげています。秀吉は、康政の檄文に大いに怒り、その首に10万石の懸賞をかけたとも言われています。
さらに「小牧長久手の戦い」のあと、家康と講和がまとまる際に、秀吉はその使者に康政を指名しました。そして「徳川殿はそなたのような家臣をもって羨ましい」と、従五位下・式部大輔の冠位を賜っています。
本多忠勝は、長久手の戦いの際は小牧城で留守を任されていました。しかし、徳川軍に秀吉軍16万とも言われる大軍が迫っているという情報に接すると、わずか500の兵をもって出陣。秀吉本軍を足留めします。この時、的兵が眼前に迫るにも関わらず、悠々と馬に水を飲ませた様子を見せつけ、それを見た秀吉軍は追撃を中止し、徳川本軍は事なきを得たと言われています。秀吉からは、東国一の勇将として認識され、和睦後には従五位下・中務大輔の冠位を賜っています。
両者は共に、後世に「徳川四天王」として名を連ねることになります。
井伊直政と本多正信
本多忠勝と榊原康政が幼少時から家康に仕えていたのとは異なり、井伊直政と本多正信は新参者&出戻り者でした。
井伊直政は、遠江の名族・井伊家の相続人でしたが…家康の台頭と時を同じくして没落していました。そのため、井伊直政は当初、家康を恨み命を狙っていた…とされていましたね。
井伊家という名族出身であること、そして本人も武人として才覚を認められていたことから直政のもとには、滅亡した武田の家臣団を集結させ、その旗頭としました。後の世に「井伊の赤備え」と呼ばれる軍団です。
本多忠勝や榊原康政らより一世代若い直政は、徳川家の次代を担う逸材として期待されいましたが…家康の征夷大将軍就任を待つことなく、死去しています。彼も、本多忠勝や榊原康政と並び「徳川四天王」のひとりに数えられています。
一方の本多正信は、三河一向一揆の際に徳川家から出奔し、その後は本願寺の軍師などしながら放浪生活を送っていました。しかし、本能寺の変後の伊賀越に際して復帰、その後は家康の頭脳として活躍しました。
本多正信は、家康の天下取りを最後まで支え、徳川幕府の礎を作るシステム作りまで担当しています。豊富家を滅ぼすことになる最終作戦「大坂の陣」まで生き残り、家康の死の翌年にその生涯を閉じています。
そして…酒井忠次と石川数正
本多忠勝、榊原康政、井伊直政、本多正信らの台頭によって…行き場を失った人物がいます。
かつて、徳川家のNo.2としてその創業を支えた酒井忠次と石川数正。
酒井忠次は、その後も家康の覇業を支えた続け、「徳川四天王」の筆頭と称されました。彼の子孫は、徳川幕府でも重臣として厚く用いられ、出羽鶴岡藩主として明治維新まで存続します。
しかし…石川数正は、そうてはありませんでした。本来、酒井忠次と共に別格の扱いとして徳川四天王に列しても良さそうなものですが…残念ながら、徳川幕府内でも厚く用いられることはありませんでした。
彼は、信長や秀吉ら、中央と折衝に当たっていた関係で時代というものが良く見えていたようです。つまり…このまま秀吉と正面衝突を続けていても未来はないという視点。
石川数正は、徳川家の行く末に不安を感じたのか?徳川家を見限り出奔します。現在でも、その真意は不明とされていますが…今作「どうする家康」ではどのように描くのでしょうか?
巻末の「どうする家康紀行」のナレーションも担当している石川数正(松重豊)。果たして、この役目も含めてお役御免となるのか?次回はその辺りも注目ですね。
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