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発行者/奈良県大和郡山市・浅野善一

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ジャーナリスト浅野詠子

奈良県域水道一体化 経営難の6市町村、一般会計繰り出し不要に 欠損金、設立企業団が引き受け 県が方針

=製造コストより安く水道を販売する県内10市町(赤線で囲まれた自治体)=2017年の水道統計をもとに県が作成した「水道サミット」(2020年)資料から

製造コストより安く水道を販売する県内10市町(赤線で囲まれた自治体)=2017年の水道統計をもとに県が作成した「水道サミット」(2020年)資料から

 奈良県と27市町村で構成予定の県域水道一体化計画を進める県は、水道事業の経営が厳しく料金が上昇する6市町村に対し、一体化の企業団(一部事務組合)が発足予定の2025年度までの2年間について、一般会計からの繰り出しを不要とする方針を示していたことが分かった。生じた欠損金は企業団が引き受ける。

 8日、開会中の奈良市議会12月定例会代表質問で井上昌弘議員(共産)が取り上げ、「中南和市町村水道の構造赤字に対し、経営が良好の北和市民の水道料金で穴埋めすることになる。一体化への参加誘導ではないのか。市町村間で水道料金は2倍の格差があるのに、一体化の計画は統一料金でスタートするため、どこかが安くなり、どこかが高くなる。市長はすべての参加市町村のメリットを求めているが、それはあり得ない」と批判した。

 県の方針は、県域水道一体化の方向性を協議するために先月17日、奈良市内で開かれた第2回県広域水道企業団設立準備協議会で示された。2022年度中の基本協定締結、2025年度の企業団発足を目指す上で、その間の特例措置として一般会計からの繰り出し不要策を打ち出したとみられる。

 仲川げん市長は、県の方針を受け入れるかどうかについて「検討中である」とし、赤字補てんの構図を巡っては、国、県の助成などによって多少変化することもあり得ることを示唆した。

 県水道局が2020年、公表した資料によると、1立方メートル当たりの製造原価(給水原価)と比較して同量当たりの料金単価(供給単価)がそれより安い自治体が10市町ある。これら市町によっては、料金高騰を抑えるため一般会計からの繰り出しが行われているが、欠損金が累積するケースがある。

 一方、奈良市企業局の職員によると、表向きは黒字でも、管路の耐震化などを先送りしている市町村は、本来計上すべき減価償却費が計上されないために黒字になっている傾向があるという。「個々の団体の経営体質をもっと検証する必要がある。給水人口が最大の奈良市民は一体化によって、単独経営なら負担しなくていいものまで負担する懸念が残る」と話す。

 県水道局県域水道一体化準備室は「先月17日の企業団設立準備協議会の内容は公表していない」と話し、県民に対する情報提供のあり方に課題を残す。 関連記事へ

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