陳謝拒否の議員に出席停止4日間 奈良県香芝市議会が議決 国保・生活保護窓口への同行巡る発言発端に
香芝市議会がある同市役所=2022年10月28日、同市本町
奈良県香芝市議会で、国民健康保険料や生活保護の窓口への同行を巡る議長への発言が侮辱に当たるなどとされたことを発端として、青木恒子議員(共産)への懲罰動議が繰り返されてきた問題で、同議会は12月5日、青木議員に対し、陳謝拒否を理由に出席停止4日間の懲罰を議決した。
青木議員に対しては今年9月29日、陳謝文の朗読拒否を理由に6度目の懲罰動議が提出されていた。市議会12月定例会初日のこの日、市議会懲罰特別委員会(中谷一輝委員長、6人)は、同動議を審査、青木議員の弁明、聴聞を経て、出席停止4日間の処分を決め、本会議に提案した。同処分案は賛成9人、反対4人で可決された。
12月定例会の会期は22日までの18日間。このうち出席停止の期間は定例会初日のこの日から8日まで。7、8日には代表質問と一般質問があり、青木議員は予定していた一般質問ができなくなった。
青木議員は処分に対し「納得がいかない。一般質問では生活保護や就学援助、補聴器の助成、放課後児童教室などの問題を追及しようと準備をしていた」と無念さを語った。
今回の懲罰動議を巡っては、青木議員は奈良地裁に対し、議会が陳謝または出席停止の処分を行わないよう、仮の差し止めを求める申し立てを行っていたが、地裁は11月30日付で却下している。
同申し立ての時点では懲罰特別委員会が開かれておらず、懲罰の可否や処分内容が決まっていなかった。このため地裁は却下の理由について「現時点では処分がされる蓋然(がいぜん)性があるとはいえない」として、「償うことのできない損害を避けるための緊急の必要」という仮の差し止めの要件を欠くと判断。
一方で地裁は「(議会が)陳謝文の朗読拒否を理由として、陳謝処分より重い出席停止処分を科すとすれば、裁量権の乱用となる疑いが強い」と懸念を示す指摘をしていた。
同問題では、昨年12月の市議会福祉教育委員会で、川田裕議長が「国民健康保険料や生活保護の窓口への議員の同行は禁止。断っても帰らない場合は議会に報告を」と述べたことに対し、青木議員が「議員に対する圧力と感じた」と発言し、市議会は今年2月、陳謝の懲罰を可決。以後、陳謝拒否と懲罰議決が繰り返されてきた。
5度目の懲罰動議では、9月定例会本会議への出席停止8日間の提案が決まっていたが、青木議員がこのとき行った一度目の申し立てに対し、地裁は「裁量権の乱用と認められる」として同月1日付で同処分の仮の差し止めを決定していた。 関連記事へ