奈良県住宅供給公社、年度末に解散、奈良市六条山地区の塩漬け土地は県立病院移転用地に

2013年9月24日 浅野善一
県住宅供給公社から県に返還され、県立奈良病院が移転する六条山地区の山林。病院への進入路の工事が始まっている=2013年9月24日、奈良市石木町

 奈良県住宅供給公社(稲山一八理事長)が2013年度末で解散することが決まった。奈良市六条山地区にある広大な塩漬け土地は、出資者の県に返還される。同土地には県立奈良病院が移転することが決まっている。

 8月6日の公社臨時理事会で解散を決議した。14年度の1年間で清算事務を行い、資産は県に返還される。12年度決算で、預金や有価証券などの流動資産は38億円、土地などの固定資産は22億円。

 塩漬け土地は同市七条西2丁目と石木町にまたがる丘陵10.7ヘクタールで、1991年から98年にかけ48億円で取得した。「六条団地」として造成し、分譲住宅を販売する計画だったが、バブル崩壊後の98年、着工に至らないまま中断。2010年6月、正式に中止が決まった。

 取得当時の借金と金利を合わせた簿価は58億4千万円に上った。一方で地価の下落に伴う含み損が拡大した。これまでに借金の返済や、貸借対照表上の資産価格に含み損を反映させる評価減の処理は終えている。しかし、同土地に対する04年度の不動産鑑定評価は16億6000万円で、かつての簿価との差額は41億8000万円にもなった。

 県立奈良病院の移転用地に決まったのは11年6月。計画中断から10年余りを経て、塩漬け状態が解消されることになった。

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