奈良県などでつくる南和医療組合、情報公開制度が未整備 16年に病院開業を予定
五條市、大淀町、吉野町の三つの公立病院を一つの救急病院と二つの地域医療センターに再編し、運営する一部事務組合、南和広域医療組合(管理者・荒井正吾知事)が設立から2年半たった現在も、情報公開制度を整備していないことが分かった。
同組合は奈良県と五條市、吉野郡11町村で構成される。医療機能が低下している同市の県立五條病院、大淀町の町立大淀病院、吉野町の国保吉野病院の3病院の役割分担を図り、県南部の医療体制を再構築するため2012年1月設立された。大淀町に本体となる救急病院を新たに建設し、五條病院と吉野病院を改修して地域医療センターとする。総事業費は196億6000万円が予定されている。
救急病院の開業は2年先の16年7月だが、ことし3月、病院建設工事の契約が建設業者との間で締結され、着工している。また、組合の一般会計予算も本年度で16億円余りが計上されるなど、すでにさまざまな行政事務が行われている。
組合設立と同時に議会や組織、人事、財務に関する条例や規則など約40件が施行されたが、この中に情報公開条例はなかった。組合は「いろんな事情で少し漏れていたのかもれない」とする。情報開示の申し出があれば、県の情報公開条例を準用して情報提供するという。しかし、組合が非開示とした場合、条例に基づく処分ではないため、請求者は行政不服審査法に基づく異議申し立てをする権利がない。
一部事務組合は、都道府県や市区町村などの普通地方公共団体に対し、特別地方公共団体と呼ばれる。県内の一部事務組合の情報公開条例制定率は低く、「奈良の声」が2012年3月に全31団体を対象にした調査では29%にとどまった。
一方、情報公開条例が地方公共団体において当たり前となった近年に設立された一部事務組合に限ると事情は変わり、同組合と前後して設立されたやまと広域環境衛生事務組合(管理者、東川 裕・御所市長、11年3月設立)と県広域消防組合(管理者、森下豊・橿原市長、ことし4月設立)はいずれも、設立と同時に条例を施行している。南和広域医療組合は同調査時に「12年度中の制定を目指す」としていた。
同組合の福井祥文事務局長は「情報公開制度は大事なことと認識している。病院開業までに他の例規よりも先行して早いタイミングで整備していきたい」とした。