20240903

/ART

Casieに作品を送る

作品を預けているアートのサブスクサービス《Casie カシエ》に、追加でS6サイズの油彩作品2点を登録した。登録審査も無事通過したので、作品を梱包して発送する。

油絵なので作品を直接プチプチで包んでしまうと、作品面の油絵具がかなり乾燥した状態でも張り付いてしまうことがあるので、作品面とプチプチの間に張り付きにくい特殊な加工が施された紙を挟む。

私がこれまで使った中で品質的に素晴らしかったのはホルベインの〈クッツカーネ2〉である。作品面に接する側がシリコンワックスでコーティングされており、マスキングテープも張り付かないくらいにツルツルしているため、油絵の作品面が張り付いてしまうことはほぼ無く、信頼性は非常に高かった。しかし、1100mm×12m巻で6,050円もするので、頻繁に多くの量を使う場合にはコスパが良いとは云えず、結果的に別の選択肢を探すことになった。

現在使っているのは〈油紙〉。いわゆる蝋引き加工されたパラフィン紙である。作品保護の観点から破れにくさもある75g/㎡の厚さを持ったものを選んで使っている。コスト的には、910mm×30m巻で3,190円なので、巻長だけで計算すればクッツカーネの1/5ほどのコストに抑えることができる。これよりもちょっと薄い50g/㎡の厚さの物もあり、それは2,530円と更にリーズナブルになる。

この油紙は蝋引きによるワックス加工なので、シリコンワックスに比較すると張り付き防止効果は低いのだが、油絵具でも絵具の塗厚に応じてしっかりと乾燥させてから包むことを心がければ実用上は大きな問題は無く充分な品質であると感じている。

VOIDISMシリーズ〈09 JUL 24〉

VOIDISMシリーズ〈15 MAY 24〉

手製の軽くてシンプルな木製フレームに額装した作品を、油紙で包んでからプチプチで保護してダンボールにまとめて発送する。旅立っていくこの時は、ワクワクするのと同時にやはり少し寂しい気分にもなる。

制作してからしばらくの間は自分の部屋に飾って毎日観ていた作品たちだ。私は、「作品は観られることで完成する」という触媒性を強く意識した感覚を持っているので、制作後に作品が置かれる環境というものは大切だと考えている。美術館などでもそうだが、収蔵作品としてリストに載っている作品であっても、いつも明るい展示室に展示してもらえるわけではなく、温度や湿度を管理されてはいるが薄暗い倉庫に閉じ込められて誰にも観られることなく何年も眠っている作品の絶対数の方がきっと多いことだろう。

作家一人の範囲で考えても同様で、制作した全ての作品を自分の部屋やアトリエに飾れる人は稀で、やはり重ねられたり仕舞われたりすることだろう。そういう環境は作品人生としては決して喜ばしい状況とは云えず、だからこそ、Casieのようなサービスでどこかに飾られる機会を与えられることは、作品としても幸福なことに違いないと考えている。

これまでCasieに預けてきた作品たちがそうであるように、この作品たちも一時的にレンタルされて私の知らないどこかに飾られたり、購入されて永遠に嫁いでいく子もいるかもしれないが、どういう運命をたどるにせよ居心地の良い穏やかな作品人生を送ってくれたらと願いながら、その後ろ姿に手を振って見送るのである。

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