【5月31日 AFP】フランスの裁判所は30日、12歳の少女に対価を支払って性行為をしたとして、5人の男に禁錮1年6月(うち執行猶予1年)を言い渡した。フランスで買春事件が法廷に持ち込まれるのは異例。

 フランスで売春は合法だが、性的搾取や買春(購入)は違法とされ、売春あっせん業者と客は刑事責任を問われる。客は罰金を科されることが多いが、未成年者を搾取した場合はより厳しい刑罰を科されることもある。

 少女は昨年11月に家出をした後、あっせん業者によって売春をさせられていた。

 事件は、少女を買おうとした男性が、見た目が幼過ぎることに驚き、警察に通報したことで発覚。パリ北西の町エルブレ(Herblay)にある2軒のホテルで少女のもとを訪れた男たちを、警察は防犯カメラの映像から突き止めて逮捕した。

 この日の被告6人のうち5人が、暗くて少女の年齢が分からなかったと主張した。

 救急車運転手の被告(32)は「彼女を大変な目に遭わせてしまい申し訳なく思う」「自分の13歳の娘には売春などさせたくない」と述べた。

 自動車整備士の被告(25)は暗過ぎて少女の年齢が分からなかったと主張した。「部屋は暗かった。照明は暗くされていた上、彼女はメークをしていた。(少女が未成年だとは)思いもよらなかった」と述べた。

 検察側は法廷で、客が訪れる数時間前に撮影された防犯カメラの映像を再生した。その中で少女はミニーマウス(Minnie the Mouse)柄の赤いパジャマを着ていた。

 弁護側は、被告たちが申し込んだインターネット広告には、売春婦は19~23歳の成人女性だと書かれていたと主張した。

 防犯カメラの映像によると、少女が待つホテルの部屋に入った9人の客のうち、引き返したのは2人だけだった。

 被告6人の中で唯一無罪となった営業職の男性(35)は、少女に会って考え直したと語った。「彼女は17歳か18歳、あるいは16歳かもしれないと思った。私はマリフアナを巻き、彼女と少し話した。15分後には何もしないことに決め、50ユーロ(約8500円)を渡して帰った」と語った。

 少女に売春をさせたあっせん業者3人は今年3月、別の裁判で禁錮2年(うち執行猶予1年6月)を言い渡された。

 少女の弁護士は仏紙ルモンドに対し、少女は「体が弱く」長期にわたる刑事裁判に対応できないため、未成年者をレイプした罪で客たちを告訴しないと説明した。

 権利擁護団体「児童買春反対運動(Acting Against the Prostitution of Children)」によると、フランスでは約2万人の未成年者が性的に搾取されている。同団体は買春事件が裁判に持ち込まれるのは異例だと説明している。(c)AFP