音楽之友社・ON BOOKS の、「名曲名盤100」の交響曲編。編者は、小石忠男氏。
しかし、何故、曲を100曲ちょうどにするのか。別段、「100」と言う数字に、何の不思議も、ご利益も無い。曲数は、絞ろう、と、思えば、87曲くらいで事は済んだかもしれないし、逆に、これだけは紹介したい、と言う曲を、存分に語ったら、計128曲でも足りなかったかもしれない。
それは良いとして。ソナタを、管弦楽で演奏したものが、交響曲であり、その始祖鳥は、ハイドンである。だから、ハイドン以前の、バッハやヘンデルの「交響曲」が、有るハズが無い。
この本では、そのハイドンや、モーツァルトから、スタートして、新しいところでは、20世紀の、メシアン、グレツキ、シュニトケ、と言った、現代曲までを、収める。
私は、まず、目次を見て、おったまげた。ベートーヴェンが、全9曲、選ばれている。シューマンが、全4曲、ブラームスが全4曲。この辺りは、妥当な線だが、驚くのは、ブルックナーが全9曲、マーラーが全11曲、シベリウスが全7曲取り上げられている事である。ベートーヴェン以来の交響曲書きは、全曲取り上げる、と言うワケ。
本編は、見開き2ページで、一曲づつ、扱い、前半は曲の成り立ちのいきさつ、後半は、名演奏の紹介と成っている。往年の指揮者としては、フルトヴェングラー翁、トスカニーニ翁、ヴァルター翁、ベーム翁と言った辺りが並び、新しい時代の指揮者からは、アバド、ショルティ、レヴァイン、アーノンクール、インバル、小澤征爾、プロムシュテット、アシュケナージ、ラトル、と言った顔ぶれが、きら星のように、並ぶ。著名なカラヤン先生と、バーンスタイン先生に関しては、案外、軽い扱い。SPレコード時代の、いにしえ吹き込みから、最新のデジタル録音まで、カヴァーされているワケで、編者の小石忠男氏の、博識さが、うかがい知られる。
私が、この本で、快哉の声をあげたのは、マーラーの第5交響曲の項目で、ヘルマン・シェルヒェン指揮 O.R.T.F.(フランス国立放送管弦楽団)の、ディスクの名が挙がっていることであった。私にとって、マーラーの交響曲第5番、いや、マーラーの全交響曲の中から、一点を採れ、と言われたらば、ウソ・偽りなく、この、シェルヒェン指揮 O.R.T.F. の、第5交響曲のライヴ録音を、躊躇する事無く、選ぶだろう。シェルヒェンらしい、スコアの省略もあるが、この演奏を聴いて、珍盤扱いするなど、言語道断。私としては、断然、支持する、マーラーの演奏である。
とりあえず、クラシックの交響曲の、初級者~中級者向けの名盤ガイドとして、軽便・好適な一冊です。執筆者の、小石忠男氏には、まったくもって、敬服する次第。
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ON BOOKS(117)CD名曲名盤100 交響曲 (ON Books 117) ペーパーバック – 1998/12/10
小石 忠男
(著)
その他
- 本の長さ222ページ
- 言語日本語
- 出版社音楽之友社
- 発売日1998/12/10
- ISBN-104276351170
- ISBN-13978-4276351172
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商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
広大な交響曲世界から100曲を厳選。歴史的名演から、最新のオリジナル楽器演奏まで、クラシック音楽の醍醐味を満載した、究極の名盤ガイド。クラシック音楽を聴くときの常識的知識も説明する。
登録情報
- 出版社 : 音楽之友社 (1998/12/10)
- 発売日 : 1998/12/10
- 言語 : 日本語
- ペーパーバック : 222ページ
- ISBN-10 : 4276351170
- ISBN-13 : 978-4276351172
- Amazon 売れ筋ランキング: - 546,876位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 134位クラシック音楽論・理論
- カスタマーレビュー:
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2003年10月8日に日本でレビュー済み
小遣いの少ない私にとって、CD一枚買うのにも、それなりの勇気というか決断が必要だ。そんな時、参考にしてるのがこの本。ちょと古い本なので、紹介されているディスクも、いまや手にはいらない事もあるかもしれないが、過去にこういう名盤があったんだ、と頭の中で本の記述をもとに想像の翼をひろげて演奏を自分なりに再現するのもまた楽しい時間の使い方。交響曲と銘打ってはいるが、交響曲というジャンル自体、曖昧模糊としたものなので、交響曲と名の付く楽曲を、ずらっとならべて紹介した以上の価値は、この本には無いかもしれない。それでもこの本によって、私の交響曲に対する情報量は、格段に増えたし、手ごろな値段ともあいまって、機会があれば是非、一読をお勧めする一冊。たぶん、クラシックをよほど聞き込んでる方でないかぎり、知らない曲がきっとあります。
2019年8月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
CDを購入するときや、借りるときにはとても便利で参考になる本です。買ってよかったです。
2020年5月10日に日本でレビュー済み
こういった本は、私の場合、指揮者や盤がどうこうではなく、どういった作曲家にどういう曲があるのかというまとまった簡単なガイドとしてとても役に立っている。初心者の方もいれば、人によりよく知っている時代・作曲家、あまりよくわかっていない時代・作曲家などがあるという人も多いかもしれない。個人的には聴いたことのない曲が圧倒的に多く、この本を眺め、どれもこれも聴きたい衝動にかられ、また、よく知らなかった作曲家にも興味を持ち、少しづつCDを購入して聴いている。指揮者・盤の紹介については一般的にはひとつの参考にはなるだろうが、結局は自分の感性に頼るしかない部分であり、私はあまり見ていない(そもそも、好きでない指揮者もいるし…)。紹介されている、されていないにかかわらず探していくのは楽しいことである。