韓国お得意の(?)ハードサスペンス以上に強烈な印象を残す社会派ドラマ。 学校の音楽室。ギターを抱えアルペジオを奏でるひと時・・・。「いい感じ」と微かに笑みを浮かべるゴンジュ。数少ない明るいシーンだ。それだけに作り手の想いが伝わってくる。優しいストロークで「Give me your smile」と自分を励ますように歌う姿が胸を打つ。あの天使の歌声、フルコーラスであらためて聴いてみたくなった。そして、さらに深く胸を揺さぶってくるラストの「声」。中盤までの「とあるシーン」の中に、ラストへのさりげない伏線が張ってあったのは粋な演出。あのあと、どんな物語が紡がれてゆくのだろうか。 全編通じて憂いを湛え続ける主演のチョン・ウヒ。その感情表現は秀逸。当時の彼女の年齢は26、7だろうか。あまりにも自然に清楚な中高校生を演じていたので、鑑賞時はまさかそうとは思わなかった。加害者の「悪魔」たちや周囲の大人たちが汚ければ汚いほど、醜ければ醜いほど、少女の涙は悲しくも無垢で純粋な輝きを放つのか。生きていればこそ・・・。 非常に重い内容だが、一見の価値あり。