長文レビューになります。
原作セカンドストーリー、セカンドエボリューション両方ともクリア済みのプレイヤーです。
今回、PVを見たときからずっと楽しみにしていて、予約して買いました。
1周目クロード編をやり込んで、隠しボス制覇まで遊びました。
キャラクターのドット絵が当時と変わっていないという所に批判をする人もいますが、個人的にはセカンドストーリーの物語は2Dで描かれるイメージが強いので、あえて変更されなかったのが良かったです。原作を遊んだ懐かしさが呼び起こされます。
実はキャラクターのドット絵は変わっていないように見えて、手直しがされているようです。恐らく現代版の背景に馴染むように色合いなどが変えられて、ドット絵が打ち直されています。
ボーマンのドット絵などは原作と比べてみると靴の色が違ったりして、色合いが違うのが分かりやすいです。この点からも、原作の雰囲気を壊さないように作り直した制作陣の心遣いが伝わってきます(ただ、直すならノエルの耳も何とか直してほしかったですが……笑)。
シナリオは原作からほぼ変わらず。セリフもほとんど修正されていません。会話の間合いなんかも当時の雰囲気そのままです。ただ、テンポがかなり良くなっています。原作だと「……」という吹き出しがノンビリ表示され、しかもそれが頻繁に会話に入ってきてかなり会話イベントのテンポが悪かったのですが、「……」の表示がかなり早くなり、しかも会話もボタン連打で早送りできます。
イベントもR2を押し続けると2倍速で送れるようになり、OPTIONボタンを押すとイベント自体をスキップできる機能も追加されました。イベントをほぼカットして進めるので、ゲーム開始時のリセマラや周回プレイなど、やり込み勢もニッコリの仕様になったと思います。
戦闘バランスも調整されており、原作で強かった技が弱くなっていたり、逆に原作で日の目を浴びなかった技やキャラクターが強化を受けていたりして、新たな遊び方を探すのも面白いです。原作以上にキャラを強化できる追加要素もありました。
そして何より、このゲーム一番の特筆すべき点は、徹底したユーザービリティです。分かりやすく言えば、「プレイヤー目線になって、どれだけ遊びやすさを追求できるか?」という点が、とんでもなく考え抜かれていることに驚きを隠せませんでした。
1.何よりもまず、UI(ユーザーインターフェイス)が洗練されている点
今作のゲームシステムはかなり複雑なのですが、それを分かりやすく直感的に操作できるように考えられています。正直、ここまでユーザーの快適さを追求したゲームを私は他に知りません。複雑なメニュー項目は整理され、何がどこにあるのかも分かりやすいです。
このゲームの目玉は、アイテムを自分たちで制作するシステムなのですが、そういった複雑なシステムが故に、だいたいどこか不満が残るUIになりがちです。が、このゲームはとにかくどこに何があるのかが分かりやすいと思います。これはプレイしてみないと分からない快適さかもしれません。
2.全体的に動作がものすごく早くてストレスを感じにくい
ここにもかなりこだわりを感じました。私はPS4版なので、一世代前のゲーム機でプレイしています。PS4とPS5で同時発売しているタイトルは、どうしてもPS4の方が処理速度が遅いので、ロードがもたついたりするのが当然なのですが(恐らくPS5を基準に作っていると思われ)。
でもこのゲームはPS4でもロードがかなり早いのです。SSDを積んでいるわけでもないHDDの機体でプレイしても早いです。例えばメニュー画面を開こうとすると、画面が暗転して2~3秒して表示されるなんていうゲームは多いですが、このゲームはメニューを開くのが一瞬です。しかもメニュー項目の切り替わりももたつきがほぼ無く、あっという間に行きたい項目に辿り着けます。たったこれだけのことでもできないゲームが多いので、素晴らしい点だと思います。
アイテム作成ももちろん失敗が伴うシステムなので、何度もリセマラが必要な場面も出ます。そんなときも爆速でロードしてくれるので、ストレスがかなり軽減されています。
戦闘に突入するとき、戦闘が終わってマップ画面に戻る時、マップ上で移動してマップが切り替わる時など、あらゆる場面で早いです。
3.ほか数々のストレスフリーな点
・戦闘に負けても無制限にその場からすぐ再戦できます(ボス戦でも関係なし)。メニューを開いて準備し直すこともできます
・ファストトラベル機能を搭載していて、一度行ったマップやセーブポイントまで一瞬で飛べます(イベント上移動が制限されている場面を除く)。これにより、一瞬で全回復できるダンジョン内のセーブポイントに飛んで元のマップにすぐ戻ってくることで、宿屋に行くよりも早く、しかも無料で全回復できます(宿屋の存在意義が……)。
・原作では発生しているかどうか自分で探し回らなければいけなかった、期間限定イベントやプライベートアクションが、ファストトラベル項目に分かりやすく表示されるようになり、見逃してしまうことが減った
・ランダムエンカウントからシンボルエンカウントに変更されたことで、戦いたくないときは戦闘を避けられるようになった。さらにモンスターが寄り付いてこなくなるスキルシステムも存在する
・パーティ全体のレベルが上がって格下になったモンスター相手なら、あるスキルを解禁することにより、戦闘しなくてもシンボルに近づくだけで勝手に倒せて、しかも経験値もお金もまんま入ってくるという、戦わずにレベル上げができるようになった。これによってダンジョン内を歩き回るだけでレベルがどんどん上がっていくようになった(今作から入った初心者のための救済措置?)
・アイテム作成が原作と比べて爆速になった。しかも一度に最大10個まで複数作れるようになったので、アイテム作成にかかる時間が大幅に減った
など、挙げればもっとキリがないのですが、これらはプレイして分かった良い点の一部です。
もちろん、ゲーム全体としてみれば良い点だけではなく、残念だった部分も存在します。ですが、良い部分が圧倒的に目立っているので、あまり残念さは目立たず、気にならないことが多いです。
原作プレイ者ももちろん、今作から入る方にもオススメできるゲームです。懐かしいドット絵のキャラクターが好きな人などにも良いと思います。そこに最新の技術で作られた3D背景が意外なまでにマッチしていて、思った以上に美しいビジュアルになっています。
これを制作してくれたジェムドロップさんには、改めて開発力の高さを感じさせられました。素晴らしいと思います。これからも良いゲームをもっと作ってほしいです。買いますから。
世のゲームクリエイターたちはこのゲームをリメイク作品の教科書として、ぜひ買って遊んでみて、勉強材料にしてほしいです。本当に勉強になると思います。
では長文失礼いたしました。