午前6時。校舎内に起床を知らせるラッパの音が響き渡る。ベッドから跳び起きると、急いで迷彩色の軍服に袖を通す。ブーツの靴ひもを締めて中庭へ。行進の練習が始まった。
米ニューメキシコ州にある全寮制の公立軍事学校。尾崎将哉(まさや)がここに入って、8カ月になる。身長193センチ、体重115キロ。21歳は今、ライフルを手に軍事訓練を受けながら、日本のアスリートが誰も成し遂げたことがない「アメリカンドリーム」を追っている。
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祖父は、プロゴルファー「ジャンボ尾崎」こと尾崎将司(74)。国内ゴルフツアー歴代最多の通算94勝、賞金王12度のレジェンドだ。父親の智春(49)も元プロゴルファー。さらに大叔父の「ジェット尾崎」こと健夫(67)、「ジョー尾崎」こと直道(64)もプロツアーで活躍した人気選手だった。
ゴルフ一家に生まれた尾崎だが、クラブを握ったことはほとんどない。「ボールを打っても爽快感がなく、興味を持てなかった。じいちゃんから野球は教えてもらったけど、ゴルファーになれと言われたことはなかった」。そもそも祖父がどんな偉大なゴルファーなのか、よく知らない。
米国で軍の訓練をしてまでも…