稲見萌寧が振り払った2打目の悪夢 滑り込んだ夢舞台での銀メダル

木村健一
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 7日にあった東京オリンピック(五輪)、女子ゴルフの稲見萌寧は、銀メダルをかけたプレーオフの18番(パー4)で2打目の悪夢を振り払った。前日はグリーンをオーバー。この日の最初の18番はバンカーにつかまり、金メダルのチャンスを逃した。

 「勝ちにいこう」。6番アイアンを振り抜き、グリーンをとらえた。あこがれの元世界ランキング1位リディア・コ(ニュージーランド)との対決を制し、「本当に楽しかった」。銀メダルを手にし、日本勢初の表彰台へ上がった。

 「私の人生で一番の名誉で、うれしいこと。重大な任務を果たした感じがある」。国内ツアーでプレーオフ3戦全勝の強さは、初めて挑む五輪でも変わらなかった。

 4日間のフェアウェーキープ率85・71%は全60選手中、断然トップ。首位と5打差の3位で臨んだ最終日も、背中の違和感を抱えながら、安定したショットでグリーンへ。今季、窮屈だったフォームを拳1個分のゆとりを持たせて改善したパットが決まり、9バーディー、3ボギー。金メダルを獲得した世界ランキング1位のネリー・コルダ(米)と終盤に並んでいた。

 五輪は幼い頃から「夢の舞台」だった。ゴルフを始めてから、空振りしたことがない。ショットの才能を1日10時間の猛練習で磨き、精度を高めた。今年に入り、序盤の12大会を5度制し、世界ランキング27位で日本代表に滑り込んだ。「出場できたことが奇跡。いい夢の舞台で終わらせられて良かった」

 畑岡奈紗渋野日向子ら「黄金世代」と、古江彩佳ら「ミレニアム世代」の間の1999年生まれ。「はざま世代のダイヤモンドになりたい」と言う。世界トップと互角に渡り合い、メダルを手にしても目標は変わらない。「日本でずっと頑張って、永久シードを取りたい。明日も練習します」(木村健一)

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この記事を書いた人
木村健一
スポーツ部次長|高校野球・ゴルフ担当
専門・関心分野
スポーツと社会・ビジネス、調査報道、オリンピック、野球、ゴルフ