第1回人生変えたあの日、2年C組が歩んだ11年 結婚した2人は雪に思う

有料記事17歳のあの日から 大槌高校2年C組

中山直樹 西晃奈
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 春休みを2週間後に控えた金曜日。午前授業だった岩手県立大槌高校では、バレーボール部が体育館で紅白戦をしていた。

 2年C組の福士準基(じゅんき)さんと沢田輝(ひかる)さんは、入学時に休止中だった部を同級生とともに再開させた。福士さんのおちゃらけを冷静な沢田さんが突っ込み、部を盛り上げる。日常の風景だ。

 午後2時46分。

 福士さんがサーブを打とうとした瞬間、立っていられないほどの衝撃が襲い、天井の照明はガタガタと揺れた。

 中庭には部活で残っていた生徒や先生が100人ほど集まっていた。学校は大槌湾から2キロほど離れた高台にあり、近所の人たちが続々と逃げ込んでくる。小学校や幼稚園の子どもたちもいた。

 誰かが叫ぶ。

 「きたぞー!」

 大槌高校2年C組38人。大切な人を失い、日常を奪われながらも、現実と向き合い、それぞれの道を進みました。進学、就職、結婚……。歩んできたこの11年を、3回の連載でたどります。まずは、卒業後に結婚した2人の生徒のいまを伝えます。

避難所になった学校、クラスメートの行方…

 沢田さんがグラウンドの端か…

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この記事を書いた人
中山直樹
ネットワーク報道本部|都庁担当
専門・関心分野
人権問題、災害、人口減