「人間として何が正しいのか」 稲盛和夫さんの翻訳者が見た判断基準
西尾邦明
稲盛和夫さんの著書の中国語の翻訳・編集を手がけてきた曹岫雲(ツァオシウユン)さん(76)は「判断基準の根幹に、人間として何が正しいのか、という問いが常にあった。優れた経営者でありながら哲学者でもあった」と惜しんだ。中国メディアの記者から訃報(ふほう)の知らせを受けたという。
稲盛さんの本は中国で近年、爆発的に売れている。曹さんによると、「生き方」(550万部)や「働き方」(200万部)は特に人気が高い。アリババ創業者の馬雲(ジャック・マー)氏をはじめ、通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)や小米科技(シャオミー)の創業者も愛読しているという。改革開放以降に市場競争が広がる中、経営の道徳や人格を重んじる稲盛氏の思想が共感を集めた。
曹さんは翻訳だけでなく、北…