東京・世田谷にある小田急線の小さな駅にいま、多くの人が押し寄せている。人気の下北沢駅の隣で、乗降者数は10分の1以下。各駅停車しか止まらない世田谷代田(だいた)駅だ。放送中の人気ドラマ「silent」で登場したことがきっかけ。ブームの裏には小田急電鉄の戦略と、ドラマプロデューサーの狙いがあった。
新宿駅から13分、世田谷代田駅は閑静な住宅街にある。改札を出ると、ジョギングや犬の散歩をする地元住民の姿がみえる。遠くには山も見え、大都会にいることを一瞬忘れてしまいそうだ。
「このベンチがイヤホンを拾ってあげるシーンのところだ!」。平日の午前中にもかかわらず、改札前のベンチに人だかりができていた。若い女性から子供連れ、カップルら。地面に落ちたイヤホンを拾うなど、ポーズを決めて写真を撮っている。
このベンチは、フジテレビ系列のドラマ「silent」で、登場人物の2人が再会するシーンが撮影された場所だ。
「silent」は、川口春奈さん演じる主人公の「青羽紬(つむぎ)」と、目黒蓮さん(Snow Man)演じる「佐倉想」のラブストーリー。想は聴力を失ったという想定で、「音のない世界」で2人が再会する物語は、ツイッターで世界トレンド1位を獲得した。
ドラマでは駅のホームや改札、橋や階段といった多くが世田谷代田駅で撮影された。休日は、「聖地巡礼」に訪れるファンであふれかえる。
小田急線の「地味な駅」が人気ドラマ「silent」に登場したことで注目を集めています。記事後半では、なぜ世田谷代田駅が物語の舞台になったのか、小田急電鉄やフジテレビの村瀬健プロデューサーが明かしています。紬と想が再会したベンチなど、主なロケ地の紹介もあります。
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