脱毛症の日体大エースはウィッグを外した 最後の箱根駅伝で示す決意

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大宮慎次朗
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 2023年も箱根駅伝が始まります。日本体育大学の藤本珠輝選手は「花の2区」を任されました。昨年も2区を走った藤本選手には「シンプルに好き」という以外にも、走る理由があります。

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 2022年正月の箱根駅伝、各大学の猛者が集う「花の2区」の鶴見中継所で、日本体育大のエース藤本珠輝選手(当時3年、現4年)は仲間を待っていた。総合10位以内でシード権獲得を狙うが、たすきを受け取るのは19番目だ。

 「協力して前に行こう」

 隣にいた東京五輪出場の順天堂大・三浦龍司選手と声を掛け合い、並走して前を追った。コースの起伏によって前後を交代し合い、相乗効果で加速。終盤には三浦選手も置き去りにし、5人抜きで順位を14位に押し上げた。

 持てる力を出し切った実感はあるが、最終的にチームは総合17位。「まだまだ。めざすところじゃない」。エースとしての責任を感じた。

 競技歴は10年。「走ることがシンプルに好き」だ。けれど、走る理由はそれだけじゃない。

 小学5年の秋のこと。休み時間にかゆくて後頭部を触ると、毛の束が手についた。体調を崩しただけ。そう母親に励まされたが、眉毛、まつげと抜け落ち、2カ月ほどで全身に広がった。

突然襲った症状、目に入る額の汗

 病院で脱毛症と診断された。免疫異常などが原因とされ、症状は様々だ。一度抜ければ元通りになる人もいるが、藤本選手の症状は長引いた。額の汗がすぐ目に入ってじゃまになる上に、周囲の心ない言葉も耳に入った。

 ただ、運動そのものへの影響…

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この記事を書いた人
大宮慎次朗
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野球