第10回沖縄返還の核密約「約束通りだった」 会談初日で合意のシナリオ
沖縄返還交渉で佐藤栄作首相の密使を務めた国際政治学者、若泉敬氏の過去を物語る数々の史料が見つかった。返還後の沖縄に米国が緊急時に核兵器を再び持ち込むことを認める密約を首脳会談で交わすシナリオなどの史料を、若泉氏ゆかりの人々や専門家と読み解き、人物像に迫る。
日本政治外交史を研究する波多野澄雄・筑波大学名誉教授(75)は、国立公文書館のアジア歴史資料センター長を務め、日本外交に関する文書に精通している。民主党政権下の2009~10年に行われた日米密約調査では、外務省が設けた有識者委員会のメンバーを務めた。
若泉敬氏の直筆とみられるシナリオについて、22年12月に東京都内で会った波多野氏は、こう語った。
「非常に興味深い。首脳会談の様子が手に取るようです。若泉氏が著書に記したよりも詳細で、『核抜き』で沖縄返還を実現したいという思いがリアルに伝わってくる」
署名までの流れ 鮮明に
佐藤栄作首相は1969年1…
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- 【解説】
書きました。この連載は、佐藤栄作首相の密使を務めた若泉氏と、その「遺産」として今も謎の多い沖縄返還合意時の核再持ち込み密約について、新たな外交文書「若泉シナリオ」の発見を機に掘り下げるものです。今回の記事は、その核密約とは結局何だったのかを
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